採用について

とかち支部広報委員会では、会員が同友会での学びをどのように生かしているのかを取材し、シリーズでお届けします。

第四弾として「採用の取り組み」についてです。
今回は事業承継したての三代目の若い経営者からお話を伺いました。

事業内容と会社のことを教えていただけますか。
事業内容は土木工事一式です。主な工事は道路の工事、河川、一般住宅の外構工事などです。
創業63年ほど経ちます。現在の社員数は、役員含め25名です。
土木工事会社で働くには何かスキルが必要ですか。
学歴や経験はなくても働けますが、入社してから覚えていくことがたくさんあります。
実は何をやるにも資格が必要な仕事なんです。
現場では施工管理技士という資格、作業をするにも重機の資格。重機の資格だけでも種類がいっぱいあるんですよ。ほかにも高所作業車、ものをかけるフックの資格、草刈り機、チェーンソーなど、チェーンソーの歯を取り換えるのにも資格が必要で。資格もそうですが現場でもひとつひとつ、確実に覚えていかないとケガや事故につながってしまいます。需要はあるので、ひとたび会社に入ると一生できる仕事ではあります。
業界全体の抱えている問題はありますか。
今はどこもそうだと思いますが人が足りていないですね。今後も定年などで引退する人たちがどんどん増え、また業界全体では30代40代の人数がいないのです。
その年代がいないのは、政権交代で「コンクリートから人へ」と公共事業費が削減され工事がストップし、建設業のバランスが崩れました。倒産が増え、価格競争がおき仕事がなくなりました。仕方なく人員削減をするところが増えて、採用も控えたのです。その影響が今、色濃く出ています。
社内の離職率をお聞きしてもいいですか。
中間層は離職率が低く、若い子が辞めやすい傾向にはありますね。
対策としてはこれから評価方法を見直したいと思っています。今までは年功序列でした。でも評価法を上手に取り入れて、年齢関係なく平等に稼げるようにしていきたいです。
現在、定着してもらえるように工夫していることはありますか。
どうやったら仕事を覚えてもらえるか、と考えて仕事の閑散期に重機の練習やオペレーションの教育をしています。重機を動かす人、写真を写す人、作業計画を立てる人、測量をする人、と社員が講師役になり、会社敷地内でローテーションを組んで教育をしています。
効果は現場で仕事に入る前に、頭で理解してシミュレーションしてもらってから仕事にとりかかれるようになりました。
基本的な動作の練習を反復でやっていくと、現場での恐怖心がなくなるようです。土木では体積の求め方とか、計算もよく使うので、その問題集をやったりします。現場に行くと「あ、これがあの計算なんですね」とわかってくれ、理解が早くなります。
問題集はネットなどから引用し、パソコンで学べるようにしています。若い人は紙に印刷したものだとなかなか時間がかかりますが、パソコンだと自然とやってくれるんですよね。
採用の取り組みはいかがですか。
採用活動は、学校訪問で一通りまわり、インターンシップの受け入れもしています。
土木業界の下請けでホームページを開設している会社は少ないのですが、当社は開設し会社のPRをしています。会社の教育方針、業界の魅力など。今はネットで検索し、会社情報が出てこないと話にならないと思っていますので、そこを考えて作りました。実は女性が入社しても仕事ができる業界です。女性でもできる仕事はあるので入社してくれたら、向いている仕事を勧められます。ですが受入体制の部分でまだまだ課題はありますね。
同友会ではどんな活動をされていますか。
共同求人委員会に入り今年2年目です。採用に関していろいろな情報収集がしたかった。先生はなにを考えてるの?今の子たちは何を考えてるんだろう?と。
活動を通じて、高校生と接する機会が多くなったり、他の企業さんの採用についての考えが聞けたり、求人に関わることが多いので情報もたくさん入ってくることがよかったですね。
他にあすなる会にも所属しています。後継者という同じ立場の人が集まっている組織なので、悩みをもったときにそれを話せる場や相談の場がある、というのが癒しの場になっています。異業種の人の取り組みや悩みを共有し、また頑張ろう!と励まされます。仕事の面でもすごく助かっています。
今年、事業承継をされ、まだまだお若いですが、今後の会社の展望を聞かせてください。
会社自体は現場、総務、その他など部署ごとに分かれてしまっているので、それぞれが特化した仕事になりがちです。新人には部署を超え、当社の仕事を覚えてもらっています。色々なことができる人を育てていきたいです。

社内教育では社員さんに寄り添って内容を考えられている、と感じました。採用・定着、とセットで考え進められているところはみなさまのご参考になるのではないでしょうか。同友会の活動で、仕事も会社も広がる、という経験談を語っていただきました。若き三代目経営者の今後のご活躍を楽しみにしています!