若手・中堅幹部と一緒に学び、自社のビジネスチャンスを広げよう!

1.北海道中小企業家同友会第55回定時総会より

 6月7日(水)、一般社団法人北海道中小企業家同友会第55回定時総会が開催されました。2023年度のスローガンは「同友会運動の原点に立ち戻り、会員同士の顔の見える活動を推し進めよう」です。アフターコロナを見据え、本腰を入れて「人を生かす経営」の実践を進めていこうという意味が込められています。
 定時総会の議案書は130ページの冊子にまとめられています。北海道同友会のWEBサイトからダウンロードできるようになっているので、関心のある方はぜひダウンロードしてください。https://hokkaido.doyu.jp/20230607sokaigian/
 議案書の中で注目していただきたいのは、32~35ページの「中小企業の視点で見つめる情勢の特徴」と38~42ページの「2023年度活動方針」です。
 「情勢の特徴」では、中小企業を取り巻く経営環境がどのようになっているのか、コンパクトにまとめられています。道内企業の共通課題となっている「賃上げ」「労働力不足」「採用難」「事業承継」「ゼロゼロ融資返済」に関する現状が、わかりやすく解説されています。また、これからの可能性として、「観光」「再生可能エネルギー」「ラピダスの千歳進出」などについても触れられています。昨年度スローガンにあった「激変」という言葉は使われなくなりましたが、我々を取り巻く経営環境は急速な勢いで変わり続けています。常に新しい情報をキャッチし、自社の変革に努めましょう。
 「2023年度活動方針」では、「企業づくり」「経営環境の改善と地域づくり」「同友会づくり」について述べられています。例年と変わらない一貫したメッセージと並んで、今年度ならではの内容もあります。そのひとつは「企業変革支援プログラムVer.2」の活用です。昨年秋、リニューアルされた同プログラムは一冊に集約され、従来の「STEP1」「STEP2」よりも使いやすいものとなっています。自社の現状を自己診断し、経営課題を明確にするとともに、対応策を導き出す上で有用なツールとなるでしょう。
 もうひとつは「SDGsとDX」です。今年度からというわけではありませんが、SDGsもDXも、今後ますます重要な経営課題となっていくはずです。とりわけ、チャットGPTをはじめとする生成AIの進歩は著しく、今後、自社の生産性を飛躍的に高める可能性が秘められています。AIの活用によるリスク(情報漏洩や著作権問題等)を考慮しながらも、積極的に活用する姿勢が求められるのではないでしょうか。

2.ラピダスの千歳進出

 北海道全体に視点を広げると、今もっともホットな話題は「ラピダスの千歳進出」でしょう。まだどの国、どの企業も実現できていない2ナノメートルの半導体量産を目指し、日本の半導体業界の遅れを一気に挽回しようという野心的プロジェクト。投資額は北海道の年間予算を上回る5兆円。千歳周辺には取引先企業の進出が相次いでいます。「北海道バレー構想」の触れ込み通り、これから北海道に半導体産業の集積が進んでいくことになりそうです。北海道は第1次産業と第3次産業の比率が高く、製造業が弱いとされてきました。ラピダス進出により、産業構造が変わっていく可能性があります。北海道からの人口流出に歯止めがかかるかもしれません。
 千歳周辺ではすでに地価の上昇。高所得層向けの住宅、マンション建設が進んでいます。北海道新幹線の札幌延伸と合わせ、道央エリアは活況を呈しています。その一方、資材の高騰や人手不足がこれまで以上に深刻になることが予想されます。低迷してきた北海道経済のゲームチェンジャーとなる期待とともに、デメリットやリスクにも目を向ける必要がありそうです。十勝にどのような影響が及ぶのかはまだ未知数ですが、とかち支部会員企業にとってビジネスチャンスとなるでしょう。今後の動向を注視したいと思います。

3.人材育成に同友会をもっと活用しよう

 変わりゆく経営環境の中で、自社だけ変わらないままでいられるはずはありません。変化に対応する。あるいは積極的に、自ら変化を起こすという姿勢が求められるのではないでしょうか。企業変革には困難が伴います。しかしながら、自社単独では困難なことも、同業者、異業種との協業によって実現できることがたくさんあると考えるべきです。ぜひ、同友会の仲間と学びあい、会員企業同士交流しながら積極的に取り組んでみてはいかがでしょうか。
 他社との学びあいや協業を推進するには、経営者レベルだけではなく、社員さん同士の交流も重要であるに違いありません。通常の例会は経営者向けの内容が多いと思いますが、6月23日(金)に開催される支部例会は「カードゲームでSDGsを学ぼう」がテーマとなっています。新入社員から経営者まで誰でも参加でき、日常業務では気づかない発見が得られる例会となるでしょう。経営者が若手と並んで勉強する機会は少ないのではないかと思います。この機会に、若手や中堅幹部を誘ってのご参加をおすすめします。
 同友会は経営者団体ではあるものの、幹部や一般社員に向けたセミナーや勉強会が豊富に用意されているという特徴があります。とかち支部のプログラムであれば、旅費交通費をかけることなく地元で学ぶことが可能です。また、オンラインで学ぶことのできる北海道同友会の社員研修プログラムや他支部の例会、勉強会もあります。ぜひ、自社の社員さんの成長機会と捉えてみてください。昨今、社員さんの定着に悩む企業経営者が多いと思います。人材育成に熱心な会社は定着率が高い傾向にあります。同友会の豊富な研修プログラムを活用して、働きがいの創出と人材力のアップに努めましょう。

2023年6月12日

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