全員で考え、行動できる組織をつくり、自社・地域の付加価値を高めよう!

1.新春講演会、新年交礼会に参加して

 1月24日(火)、とかち支部臨時総会、新春講演会、新年交礼会が開催されました。新春講演会の講師は(株)吉村の橋本久美子社長(東京同友会代表理事)。「経営理念で未来を拓く 全員で考え、行動できる会社づくり」というテーマでした。参加された皆さまはどのように講演を聴かれたでしょうか。経営指針、人材育成、マーケティング……。さまざまな角度から捉えることのできる、中身の濃い講演内容でした。
 労使見解という同友会の根幹に関わる用語も、橋本氏によってユニークな言葉に言い換えられていました。労使見解ではなく、相思相愛。確かに労使見解という言葉からは、半世紀前の労使対立の構図を感じさせます。労使見解の精神は今日の同友会会員に脈々と受け継がれてはいるものの、当時の空気を知らない会員には通じにくい言葉と言えるでしょう。同じ内容のメッセージであれば、より伝わりやすい言葉を選択する。そのような柔軟な発想も必要であることに気づかされる講演でした。
 マーケティングという点では、私自身「固有技術の深掘り」と「業界の常識にとらわれない商品開発」から大きな刺激を受けました。講演では社員さんのアイデア、行動についても触れられていました。演題にある通り、「全員で考え、行動できる」という企業文化をいかに築いていくか。ここは業種を問わず我々にとって最重要課題のひとつと言えるのではないでしょうか。
 新年交礼会(懇親会)ではいくつかの制約はあったものの、コロナ前に近い形で開催することができました。これで安心ということにはなりませんが、新型コロナの感染症法上の位置づけが、5月8日から2類から5類へ引き下げれられます。来年こそ、アクリル板とマスクが不要となるような新年交礼会になればと願うばかりです。

2.地域の発展を考えた企業活動を

 十勝にとって1月最大の出来事といえば「藤丸の閉店」でしょう。長年帯広中心市街地の核となり、帯広市の顔となっていた百貨店だけに、その影響が今後どのような形で広がっていくのか気になるところです。解雇された社員さんの再就職も未内定者が多いと新聞では報道されています。雇用のマッチングという課題はありますが、とかち支部会員の皆さまには、ぜひ積極的な採用の検討をお願いいたします。
 これから心配されるのは、街の賑わいがしぼんでしまわないかどうかという点でしょう。閉店直後ということもあるのか、周辺の人通りが減少しているようです。中心市街地の活性化は地方都市共通の課題。「国民や地域と共に歩む中小企業をめざす」という同友会理念と照らし合わせて考えれば、決して他人ごとではおられません。「自分ごと」として取り組んでいく必要があるのではないでしょうか。自分の住む町、働いている町の発展を考えた企業活動がよりいっそう求められています。
 今年度、とかち支部では重点方針のひとつとしてSDGsを掲げています。SDGsという言葉に難しさを感じておられる人もいるかもしれません。けれども、SDGsは平たく言い換えれば、「誰もが人間らしく安全に暮らせる社会と豊かな自然環境を両立させよう」ということ。昨年10月に発刊された「企業変革支援プログラムver.2」では「企業の社会的責任」という言葉に置き換えられています。同友会の理念とも合致しているのです。
 社会環境と自然環境。どちらも、今日の企業活動において外すことのできない課題といってよいのではないでしょうか。

3.大企業にはない価値をいかに生み出すか

 我々中小企業家にとって最大の懸念事項は「原価の高騰」でしょう。と同時に、生活者にとっては「インフレによる実質賃金の目減り」が悩みの種となっています。オール電化住宅に住む人は、電気料金を見て驚かれたのではないでしょうか。通常の節電レベルではどうにもならないほど料金が高騰しています。電気に限らず、あらゆるものの値段が上昇しています。中小企業家にとっても生活者にとっても、社会環境の変化には厳しいものがあると言わざるを得ません。
 そのような中、政府は「インフレ率を超える賃上げ」を求めています。大企業の中には社員の年収を大幅アップさせる動きも見られます。一方、多くの中小企業は原価高騰の中で苦境に立たされており、賃上げするだけの余力はありません。今後、大企業と中小企業との格差はますます広がっていくことになるでしょう。所得格差が教育格差につながり、次世代の格差固定化につながっていくことにもなりかねません。「一億総中流」と言われたのは今や昔。中間層が目減りしていき、著しい格差社会へ向かっていくことに危機感を覚えます。
 2023年は昨年以上の逆風が吹き荒れることが予測されます。各企業の経営努力と地域経済循環にかかっています。数年前、十勝経営者大学の講義の中で、「生産者と消費者が緊張感を持ちながら産業力を強化する『産消協働』の実践が重要」という話を聴いたことがあります。地域の消費者のニーズに応えながら自社の商品力、付加価値を高めていかねばなりません。大企業では生み出せない価値を中小企業は作り出すことができる。そんな気概を持って商品・サービスの向上に努める必要がありますし、地域の消費者とより密接に連携していくことが求められます。
 今年は逆風の中にいくつものビジネスチャンスが発見できる年ではないでしょうか。一喜一憂することなく、同友会運動やとかち支部のさまざまな活動を通じて、自社の価値向上を目指していきましょう。一緒に学ぶ仲間を増やすためにも、未会員のご紹介をお願いいたします。

2023年2月13日

全員で考え、行動できる組織をつくり、自社・地域の付加価値を高めよう!