1.激動と激変の2022年
2022年も間もなく終えようとしています。皆さまにとって、今年はどのような一年だったでしょうか。2022年をひと言で表すことはできませんが、激動あるいは激変という言葉が浮かんできます。今年の年明けが遠い昔のことのように思えるほどです。
1月に発生したトンガの海底火山大噴火。甚大な被害をもたらしましたが、2月24日のロシアによるウクライナ侵略以降、ニュースはウクライナ一色となりました。これにより、穀物輸出停滞に伴う食料不足、原油価格の高騰をはじめ、世界中で食料、原材料、燃料の価格高騰と品不足が起こるようになったことは、皆さまご存知の通りです。インフレ対策として米連邦準備制度理事会(FRB)政策金利を引き上げたことから、日米金利差拡大によって急速に円安が進行。10月には1ドル150円を突破しています(12月8日現在、137円)。原材料費高騰と円安によって、消費者はインフレに苦しむこととなりました。以前であればステルス値上げ(内容量やサイズを縮小するなど気づかにくくした値上げ)が多かったのですが、最近ではストレートに値上げする品目が増えています。
その一方、B2B、B2Cを問わず、中小企業の中には十分な価格転嫁ができずにいる事業者が少なくないでしょう。北海道中小企業家同友会景況調査(2022年7~9月)によると、「調達、仕入れ価格上昇に価格転嫁が追いつかない」という回答が実に46.1%に上っています。「ほぼ価格転嫁できている」と回答した企業はわずか15.5%。取引を失うリスクから、なかなか価格転嫁できずにいる実情が伝わってきます。
それに加えて、コロナ禍は第8波に突入。第8波は東高西低と言われ、北海道の新規感染者は特に高い水準で推移しています。忘年会・新年会の需要を見込んでいる飲食店にとっては大きなダメージとなりそうです。当面はwithコロナの生活が続くことでしょう。一部に忘年会を取りやめたという話も耳にしますが、感染対策を講じながら旅行、飲食を含め、消費活動や経済活動を活発に行っていくことが、地域経済にとって欠かせないのではないでしょうか。
各企業の企業努力ではどうにもならない逆風が吹き荒れた2022年。中小企業家にとって悩みの多い年だったと思います。
2.自助と共助
それでも「天は自ら助くる者を助く」(サミュエル・スマイルズ)という言葉の通り、各企業の自助努力が欠かせないのは言うまでもありません。しかし、今年のような特殊な環境下において「自助」には限界があるのではないか。そう考え、とかち支部2022年度のスローガンには「共助」という言葉を使用しました。激動と激変の世の中にあって、自社単独では解決できないことがたくさんあります。自助努力を粘り強く行っている企業同士が共助の精神で連携し合うことにより、新たな道が開けてくる。そうしたきっかけとなるような場を提供するのが、北海道中小企業家同友会とかち支部の役割のひとつであると考えています。
すでに、各員会、部会、研究会、地区会といったさまざまな活動の中で、会員企業同士の共助が活発に繰り広げられていることでしょう。「学び」と「実践」。その両方が揃っているところに、同友会の強みと存在価値があります。同友会の魅力は会員になってみて初めて実感できるものです。まだ同友会を知らない。あるいは、存在は知っていても、どのような会なのか気づいていない……。そのような未会員の企業経営者がいましたら、ぜひご紹介をお願いします。
3.新春講演会、新年交礼会へのご参加を
とかち支部2022年度の活動も、残すところ3ヵ月あまりとなりました。すでに次年度に向けて各委員会、部会、研究会、地区会ではさまざまな計画を立てていることと思います。同友会ならではの活動、会員企業や地域の発展につながるよう意欲的な活動計画となることを願っています。
2023年1月24日開催予定のとかち支部臨時総会・新年交礼会では、新春講演会として株式会社吉村の橋本久美子社長(中同協女性部連絡会代表、東京同友会代表理事)にご登壇いただく予定となっています。テーマは「経営理念で未来を拓く 全員で考え、行動できる会社づくり」。経営理念を判断基準に社員さんが主体的に行動する会社へ変革していった同社の挑戦。とかち支部2023年のスタートにふさわしい講演会になるものと確信しています。講演会のみの参加も可能です(会場・オンライン)。ぜひ、自社の社員さんや仲間の経営者を誘って、大勢でのご参加をお願いします。
外部環境の変化に翻弄された2022年でしたが、必ずしもマイナスの現象ばかりではないはずです。行動制限が緩和されたことにより、来年にはインバウンド需要を見込むことができるでしょう。このまま円安が続けば、積極的に輸出に打って出る企業も増えていくに違いありません。今は危機の真っ只中にありますが、「危険」と同時に「機会」を見落とさないようにしたいものです。自社の業態を変革する好機でもあります。危機の中で機会を見いだす。そのチャンスは、同友会の例会、セミナー、各種勉強会、実践活動の中に数多くあります。これまで以上に同友会を活用するようにしましょう。
今年もとかち支部の活動にご理解、ご尽力いただき、ありがとうございました。どうぞ、よいお年をお迎えください。
2022年12月12日