「変化をチャンス」と認識し、自社の事業を変革、再構築していこう!

1.「ポスト・コロナ研究まとめ」より

 中同協のWEBサイト「DOYU NET」の新着情報に、「中同協新型コロナ対策本部が『ポスト・コロナ研究まとめ』を発表 」という見出しを見つけました。これは、2020年9月から行われてきたポスト・コロナ研究をまとめたもの。今年5月12日の中同協正副会長会議で報告・発表された研究内容を、A4・20ページのPDFとして閲覧できるようになっています。
 読み応えのある内容ですが、「まとめ~ポスト・コロナ課題と対応」に簡潔にまとめられています。中でも「ポスト・コロナの企業づくりの6つの視点」という項目は、一読の価値があるのではないかと思います。

①経営者姿勢と経営理念がますます重要に~理念と手段の切り分け
②業界動向と自社の立ち位置を把握する
③事業再構築、企業変革のチャンス~革新(創新)のためのイノベーション
④「価値共創」を金融問題とともに
⑤人材育成と持続可能なビジネスの創出~地域課題への取り組み
⑥企業づくりの基本「労使見解」の学びなおしと経営姿勢の確認

 とりわけ、「③事業再構築、企業変革のチャンス」のところ。「ニッチ市場を見いだす10年に一度のチャンスととらえるとき」とあります。コロナ禍にウクライナ情勢と円安が重なって、今は大変な経営環境にあります。だからこそ、「変化をチャンス」と認識することのできる企業が、今後存在感を高めてくるのではないでしょうか。
 デジタルインフラが整備され、非接触サービスが日常的なものとなっていきます。さまざまな企業活動でデジタル化への対応が求められる。この流れに逆行することはできないでしょう。DX(デジタルによる変革)とともに、BX(業務改革、ビジネス・トランスフォーメーション)やCX(組織変革、コーポレート・トランスフォーメーション)を実現させていくことが大切であると、同レポートに記されています。「企業家精神を存分に発揮し、事業を変革し、再構築する絶好の機会」でもあります。自社にとってのチャンスとなるような変化は何なのか? 情勢の変化をとらえ直し、10年に一度の好機を生かしたいものです。

2.異業種の経営体験から学ぶ

 「変化をチャンス」と認識し、起業する動きも活発になっていることが数字の面から明らかになっています。帝国データバンク帯広支店によると、2021年に十勝管内で新設された会社は、前年比9.3%増の245社。2005年の調査開始以来、2番目に多かったとのこと。チャレンジ精神旺盛な土地柄という理由もあるのでしょう。困難が多いときほど新たな活路を見いだそうとする。積極的な起業家や企業経営者が多いというところに、十勝の強みがあるのだと思います。
 既存の企業の中にも業態変革や業種転換の動きが見られます。「変化しないことが最大のリスク」であることは多くの企業経営者が理解していること。しかし、変化には痛みや苦しみが伴うため、躊躇し、タイミングが遅れてしまうととが多々あります。マインドをチェンジさせること、そしてさまざまな会員から体験報告を聴き、自社の実践活動に生かしていくことが大切です。
 そのためにも、支部例会をはじめとするさまざまな例会、セミナー、研究会等への積極的な参加をお勧めします。「自分たちの業界や自社とは関係ない」考えるのではなく、「異業種のエッセンスをいかに取り入れることができるか」考える。業界内だけの発想から新しいものが生まれてくることはまずありません。異業種や異なる業態の企業の事例をインプットする。同友会をフルに活用しましょう。
 「例会に参加する時間がない」という話をときどき伺います。夜7時から始まる例会には出られないという会員もいることでしょう。それでも「これは!」と思うような例会、セミナーには業務よりも優先させて参加すべきではないかと思います。自社の成長のチャンスを逃さない。そうした姿勢が求められます。リアル参加が困難な場合は、講演録や中同協・北海道同友会等が発行する文献から情報を入するという方法もあります。

3.新旧会員の活発な交流を

 とかち支部の会員数は5月13日現在、868名となっています。期首から15名増。組織企画委員会の尽力、そして多くの会員の紹介によって増加傾向が顕著になってきました。
 これには「変化をチャンス」ととらえる企業経営者が増えてきたことも一因ではないかと考えています。コロナ禍が始まった2020年から21年にかけては、積極的行動を控えたり、コロナが終息するのを待つ、といったムードが日本全体を覆っていました。
 2022年に入ってから、明らかに潮目が変わりました。ただ待っているだけでは、衰退へ向かっていく業種・業態もあります。経営環境の変化を積極的に生かしていく。そんなアグレッシブな経営姿勢が、十勝の企業経営者の間に醸成されてきたのではないでしょうか。
 やる気とひらめきだけでは一時的にうまくいくことはあっても、長続きしないものです。同友会には「三つの目的」「自主・民主・連帯の精神」「国民や地域と歩む中小企業」の理念があります。新会員からは新しいアイデアを教わる。先輩会員は新会員に向けて同友会理念や経営姿勢を伝えていく。コロナ感染対策を講じながら、今後は会場参加の会合が増えていくことでしょう。新旧会員がお互いに教えあい、高めあう。そんな場面が増えていくよう、会への積極的な関わりをお願いいたします。

2022年5月16日

「変化をチャンス」と認識し、自社の事業を変革、再構築していこう!