持続可能な地域を築いていくために、会員を増やし、「共助」を推し進めよう!

1.2021年度第3回常任理事会より

 12月6日(月)、第3回常任理事会が開催されました。メインの議題は会員拡大でした。コロナ禍が2年に及ぶ中、北海道中小企業家同友会の新規入会者数は減少しています。厳しい経営環境にあることに加え、多くの会合がオンラインになっていることも一因として挙げられています。新規感染者数が減少している今こそ、これまで以上に会員拡大に取り組む必要があります。
 会員拡大はなぜ必要なのか? 常任理事会終了後、会員拡大をテーマに曽根一代表理事による第4回役員研修会が行われました。「会員は辞書の1ページ」「すべての会員から多くを学ぶことができる」「会としての発言力が増す」……。さまざまな理由が挙げられますが、役員研修会では「地域と企業を未来へつなぐ」という観点から話が進められました。中同協・広浜会長の「一つの会社がなくなることは、一つの地域がなくなることだ」という言葉も紹介されていました。雇用創出、人口維持、人材育成、そして事業承継。同友会に入会することでそれらすべてが解決するというものではありませんが、同友会会員企業が積極的に学びあうこと、そして学びの仲間を増やすことにより、地域の発展に少なからぬ影響を及ぼすことになるのではないでしょうか。
 とかち支部は会員数855名。企業数に対して17%という抜群の組織率を誇っています。十勝では他地域よりも会の知名度が高く、地域内での発言力、影響力が高いことを多くの方が実感されていると思います。さまざまな知識、技術、ノウハウを持つ会員が在籍し、事務局の中に情報として集積されている。そのことを多くの未会員の方々に知ってもらい、理解者、入会者を増やしていくことが重要と考えます。ぜひ、自社や地域をよりよくしていきたいと考える未会員の方々をご紹介ください。

2.「共助」というビジネスモデル

 12月8日時点で十勝のコロナ新規感染者は62日連続ゼロとなっています。北海道全体でも感染者数は激減。第6波に対する警戒を緩めるべきではありませんが、間もなくやってくる2022年には経済活動が活発化していくものと期待されます。
 ただし、さまざまな企業経営者や研究者が指摘する通り、元通りになるわけではないことを知っておかねばなりません。9月のデジタル庁発足以来、急速にデジタル化、DX化に向けて動き出しています。
 2022年1月に施行する電子帳簿保存法では2年の猶予期間が設けられましたが、経理や税務の分野でもDXが広がっています。電子帳簿保存法に関する調査では、企業の経理担当者の7割が「知らない」「詳細までは知らない」と回答しています。デジタル化の流れが逆戻りすることはあり得ません。業種、業態を問わず、私たちは自社のデジタル対応を急ぐ必要がありそうです。
 11月11日に行われた「第1回デジタル田園都市国家構想実現会議」では、「地域の魅力をそのままに、都市に負けない利便性と可能性を」という方向性が示されています。その実現のため、デジタル基盤(たとえば5G、データセンター、公共Wi-Fiなど)を整備しつつ、地域産業の高度化を図っていくための施策が今後増えていくものと考えられます。地域企業にとって課題となるのは、自社に十分な知識、技術、ノウハウがないこと。そこで、国では「自助」(民間事業)でも「公助」(公共事業)でもない、「共助」というビジネスモデルを積極的に支援しようとしています。これは民主導によって官民学が連携するシェアードエコノミー型のビジネスモデルとされています。デジタル基盤をもとに、ハードウェア、システムの共有、デジタル人材の育成等が活発化していくことになりそうです。今後、地域が大きく変わっていく可能性があります。とかち支部としても注視していかねばなりません。

3.持続可能な地域づくり

 全国的に企業経営者の高齢化と「後継者不在」が問題となっています。その一方で、コロナ禍により金融機関の支援やM&Aによる事業承継が進んでいるという調査結果があります。帝国データバンクの企業動向調査によると、後継者不在率は61.5%(2021年)。前年よりも3.6%下回っています。事業承継の形態は同族承継が38.3%と多いものの、親族間の承継は減少傾向にあり、代わってM&Aが増えているようです。12月8日に行われた新得地区会12月例会の中でも、話題提供者を務めた帯広信用金庫新得支店長、工藤宏司氏がM&Aの現状について述べられていました。
 また、12月6日の第3回常任理事会の中でも、事業承継問題に関連して、道内企業が「道外企業の草刈場になっている」という発言がありました。排他的な考えに縛られるべきではありませんが、持続可能な地域づくりという観点から、大いに考えさせられる問題ではないかと思っています。北海道、とりわけ十勝には無限と思える潜在能力と成長の可能性があります。「共助」によって、地域全体の価値を高めること。そして、地域の成長・発展に貢献することよって、自社の企業価値を高め続けることが重要と考えます。
 2021年も残りわずかとなりました。コロナ禍によって大変な苦労をされた企業、影響を受けなかった企業、むしろ業績がよくなった企業、さまざまあるでしょう。2022年も大きな変化や波乱に満ちた年となるに違いありません。同友会会員でよかった、同友会で学んでいて助かった……と、自信を持って言える支部活動を目指していきます。
 今年もとかち支部の活動にご理解、ご尽力いただき、ありがとうございました。どうぞ、よいお年をお迎えください。

2021年12月13日

持続可能な地域を築いていくために、会員を増やし、「共助」を推し進めよう!