アフターコロナの地方分散化時代を見据え、多様な働き方に対応可能な組織をつくろう!

1.北海道中小企業家同友会第53回定時総会より

 6月7日(月)、北海道中小企業家同友会第53回定時総会が開催されました。昨年同様、オンラインで各支部を結んでの総会。コロナ禍にあるためのやむを得ない開催形式ではあるものの、とかち支部のように遠方の支部にとっては参加しやすいというメリットがあります。コロナ収束後にはオンラインを残すかどうか、議論となるかもしれません。
 改めて議案書にある「中小企業の視点で見つめる情勢の特徴」という項目を読み返してみると、世界、日本、そして北海道経済の情勢がわかりやすく解説されていることに気づきます。北海道経済の現状では、2018年以降、道内企業の休廃業、解散件数が増加し、倒産件数(法的整理)の10倍以上(2020年は12.5倍)にもなっているとのこと。後継者未定のまま、経営者の平均年齢が高くなっています。コロナの影響が長引くと、休廃業の増加に拍車をかけることにもつながりかねません。同友会にとって、事業承継問題がすでに大きなテーマとなっていると認識すべきでしょう。中小企業は地域にとってなくてはならないインフラです。企業数の減少を食い止めるような活動を官民挙げて取り組まなければなりません。
 好ましい傾向としては、コロナをきっかけに東京一極集中から「地方分散」または「多極集中」に変化しつつあるという点。東京都では、2020年7月以降転出超過が続いています。北海道については、2020年4月から転入超過に転じており、4月から10月までの7ヵ月間で3,000人の転入超過となっているそうです。地方分散傾向が今後も続くのか、注目されます。

2.働き方の多様化と自社の対応

 東京の転出超過と北海道の転入超過から読み取れること。それは働き方の変化や多様化でしょう。単純にUIJターン者が増えたわけではないようです。コロナ禍によって当初はテレワークという働き方が一気に進んでいきました。テレワークに慣れると、今度はワーケーションです。人口が密集している大都市に住む必要はない。そう考える人が増えていくこととなりました。
 東京をはじめ大都市に拠点を置く企業の意識も、ずいぶん変わっていきました。一部の企業はオフィスを縮小したり、自社ビルを売却するなど、テレワークを前提としたオフィスに改変。その分、地方にワーケーションのための拠点を置くなどの動きが活発化しています。これがもしかすると、地方でのコロナ感染者増加につながっているのかもしれません。しかし、地域経済活性化という点では追い風と捉えるべきでしょう。
 勤め先を変えずに北海道に住むという人が増えつつあります。人が交流することによって、地域企業との経済交流も活発化していくことが考えられます。
 「リゾベーション」という言葉も使われるようになってきました。リゾート、ワーケーション、イノベーションを掛け合わせた造語。人々の働き方の変化、多様化に対して、われわれ中小企業家が十分に対応できているとは言えない状況にあります。人材確保や人材の定着という観点からも、多様化する働き方や社員のニーズに応えていく必要性があるのではないでしょうか。

3.会員増強の必要性について

 2021年度に入り、14名もの方々が新たに入会されました。一方、退会された方は4名です(6月11日現在)。会員数は10名増え、現在852名となっています。これにより、とかち支部の企業数に占める会員の割合は久しぶりに17%を超えました。ご紹介者の方々、また会員増強に熱心に取り組んでおられる組織企画委員会に感謝申し上げます。
 「会の充実を図ること」と「会員を増やすこと」はどちらが先かというものではなく、どちらも大事と考えるべきではないかと思います。「会員を増やすことばかり考えていてはいけない」という考えはもっともではありますが、会員が増えることで会の活動は活発化していくことになります。「良い経営環境をつくろう」という同友会の三つの目的のひとつに合致したものです。
 新入会員を増やすためには、例会、委員会、部会、地区会といった活動に魅力がなければなりません。会員増強と会の充実は表裏一体のものといえます。どのようにすれば未会員の企業経営者に関心を持ってもらえるのか、それぞれの組織の中で活動内容や情報発信方法によりいっそう工夫を凝らすようお願いします。
 とかち支部の活動の中心をなすものは、何といっても支部例会と言えるでしょう。組織企画委員会をはじめ、担当委員会では支部例会を充実したものとするため、入念な準備や真剣な討議を重ねています。まずは、幹事の皆さまが率先して支部例会に参加することが重要です。そして、できる限り多くの会員が参加するよう、仲間の経営者への働きかけをお願いしたいと思います。
 各支部から、「コロナ禍によりオンライン開催が増えて未会員を誘いにくくなっている」という話をよく聞きます。支部例会の場合、コロナ禍にあっても30名までは会場参加が可能です(6月時点)。ぜひとも、未会員にとかち支部例会に参加してもらい、同友会の学び合いを体感してもらう機会を増やしていきましょう。
 地域の発展のためには、同友会の会員が増え、学び合いや実践活動が活発に行われることがもっとも重要と考えます。
 引き続き、未会員のご紹介や入会のお誘いをお願いいたします。

2021年6月14日

アフターコロナの地方分散化時代を見据え、多様な働き方に対応可能な組織をつくろう!