「変えてはならないもの」と「変えるべきもの」を区別して、自社の事業と同友会活動のあり方を見直そう!

1.新型コロナウイルス感染拡大とリスクマネジメント

 5月14日、とうとう北海道にも新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言が発令されました。道内の新規感染者は過去最多を更新しています。ゴールデンウィーク期間中の人流を考えると、今後さらに深刻な事態も想定されます。
 5月10日、北海道中小企業家同友会正副代表理事会議で新たな方針が検討され、12日、「新型コロナウイルス感染症への対応について(第16号)」という文書が配信されました。これによると、4月下旬、道央地域で行われた会合で8名もの参加者が陽性になったとのこと。こうした会合に限らず、家庭、職場、学校など、身近なところで感染者や濃厚接触者が現れるようになってきています。どんなに注意しても感染リスクをゼロにすることはできませんが、細心の注意を払って自身、家族、社員、顧客らの健康を守るようにしましょう。
 これだけ感染拡大が進むと、自社から感染者が出たり、取引先や関係者の中からコロナ陽性者が現れる……という状況も、想定しておかねばなりません。万一、感染者が出たときの対応をどのようにするのか。こうしたリスクマネジメントが非常に重要となっています。コロナに限らず、気候変動リスクや激変する社会環境を考えると、BCP(事業継続計画)の必要性を痛感せざるにはおられません。

2.ソサエティー5.0

 十勝管内の企業ではさほど見かけませんが、大都市を中心に「非接触・非対面」のビジネススタイルが増加しつつあるようです。2020年10月から、会員企業訪問、未会員企業訪問を継続的に行っていますが、今のところコロナを理由に面会を断られたことはありません。適切な予防対策を行うことで、通常通り訪問活動を行っても構わないと現時点では考えています。しかし、このまま十勝でも感染者が増え続けると、一部では非接触・非対面の方向へ向かっていくことになるのではないでしょうか。
 昨年春から、飲食店の多くがテイクアウトに対応したり、小売店や製造業の一部がネット通販に乗り出すなど、ビジネスモデルを変えていこうとする動きが目立つようになりました。また、日本ではなかなか進まなかったキャッシュレス決済も、コロナ禍によってじわじわ比率が高まってきているようです。
 営業の仕方、商品の提供方法、代金の支払い方法など、この1年で大きく変わりました。従来通りの商品、販売方法で支障はないという企業もたくさんあるとは思います。しかし、この大きな世の中の変化に対応することで、自社の成長のチャンスが得られる捉えるべきではないでしょうか。
 「K字型」とも「二極化」とも言われますが、残念なことに企業間格差がコロナ前よりも拡大傾向にあります。コロナによってダメージを受けた企業は、まだ体力が残っているうちに商品、サービスの見直しをするとともに、その提供方法や販売方法を今日の経営環境に沿ったものに改めるべきかもしれません。
 受注産業の場合は、なかなか「足で稼ぐ」営業スタイルから脱却できずにいます。今後、もしかすると自社の変革と顧客ニーズの変化によって、営業方法の転換が想像以上に進む可能性もあるでしょう。一足飛びにデジタル化、DX化が進むとは思いませんが、自社のビジネスの中に計画的にDXを盛り込んでいく必要があるのではないかと思います。
 内閣府の「第5期科学技術基本計画」では、「ソサエティ5.0」という言葉が使われています。「サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会」というのがソサエティ5.0の説明です。これまでの情報社会(ソサエティー4.0)の次の段階に世界は進もうとしています。コロナによってそのスピードが加速していると認識すべきでしょう。

3.不易流行と同友会活動

 同友会活動も世界の変化に柔軟に対応していく必要があります。これは歴史や理念をないがしろにするということではありません。変えてはならないもの(不易)と変えるべきもの(流行)。不易流行に基づいて、同友会理念を大切にしながらも、変えるべき点を変えていく。2020年度はオンラインにいち早く対応することができました。今年度は「よい経営環境をつくる」ための活動が求められていると認識しています。
 とかち支部の活動は道内でも、もっとも先進的でユニークなものではないかと思います。とかち支部(かつては帯広支部)46年の歴史を振り返ると、革新の連続であることがわかります。年間600回も会合や例会、勉強会がある。その数字だけ見ても活発さがわかります。具体的には、各部会によるチャレンジ精神旺盛な実践活動のひとつひとつに、とかち支部の活発さが表れていると言ってよいでしょう。
 同友会の「不易」のところは委員会を中心とする「学び合い推進」活動が担っています。一方、とかち支部の先進性、革新性が表れているのはおもに部会、研究会です。両者が車の両輪となって、とかち支部が発展してきたと考えられます。
 4月以降、新たに入会する会員が増えてきました。とかち支部の魅力や同友会で学ぶメリットを感じてもらうためにも、各委員会、部会、地区会の活動を広く知ってもらうことが重要です。活発に活動する会員ばかりではなく、たまにしかお見かけしない会員も多数在籍しています。しばらくは、ハイブリッド例会という不便な状況が続きますが、ぜひお誘い合わせの上、例会、セミナー、各種会合に参加していただけるようお願いします。

2021年5月18日

「変えてはならないもの」と「変えるべきもの」を区別して、自社の事業と同友会活動のあり方を見直そう!