一緒に学び、実践する仲間を増やし、持続可能で強靱な会社、地域をつくろう!

 北海道中小企業家同友会とかち支部の支部長として2年目を迎えました。幹事をはじめ、とかち支部会員の皆様とともに、地域企業の成長と地域の発展のために力を尽くしたい思います。引き続き、よろしくお願いいたします。

1.コロナ禍の終息が見えない経営環境の中で

 新型コロナウイルスの第4波が懸念されています。十勝は比較的落ち着いた状況にあるものの、まったく予断を許さない情勢です。感染リスクを完全にゼロにすることは不可能ですが、自分、自社、地域を守るために、お互い注意深く行動しましょう。
 そんな中でも経済活動を止めることはできません。1975年に発表された「労使見解」には、このように書かれています。
 「経営者である以上、いかに環境がきびしくとも、時代の変化に対応して、経営を維持し発展させる責任があります。経営者は企業の全機能をフルに発揮させて、企業の合理化を促進して生産性を高め、企業発展に必要な生産と利益を確保するために、全力を傾注しなければなりません」
 「労使見解」発表当時は第1次オイルショックが起こり、「狂乱物価」という言葉が生まれた頃。労使が鋭く対立し、中小企業経営者にとって悩みの深かった時期といえます。単純に1970年代当時と今とを比較することはできませんが、「厳しい経営環境」という点ではまったく同じ。経営者は企業の全機能をフルに発揮させる必要があるのではないでしょうか。
 「労使見解」では、経営の全機能を十分発揮させるキーポイントとして、「正しい労使関係の樹立」にあると述べています。同友会でよく使われる「全社一丸」体制を確立すること。新入社員やパート社員を含め、社内の叡智を結集することに努めていくことが何よりも重要であると思います。

2.持続可能な会社づくりと地域づくり

 コロナ禍にあっても、というよりコロナ禍だからこそ、と言うべきでしょうか。この1年、SDGsに対する認識や実践行動の広がりが明確になってきました。2020年のダボス会議ではステークホルダー資本主義が主題となりました。社員、取引先、顧客、地域社会などあらゆるステークホルダー(利害関係者)の利益に配慮すべきであるという考え方。我々地域企業経営者は最初からSDGsに近い考え方を持っていますが、いまやグローバル企業であっても、従来の株主資本主義から大きく転換しようとしているのです。
 コロナによって多くの企業、地域経済が傷つき、存続、業績回復に向けて懸命に努力していることと思います。「経営者は孤独」とよく言われますが、コロナ禍にある今こそ、地域企業経営者が一緒に学び、切磋琢磨し、協業し合うような関係をつくっていくべきではないでしょうか。このため、2021年度とかち支部重点方針では、昨年度に続いて「地域経済循環」を掲げました。
 1社では力が及ばなくとも、地域単位でまとまっていくことによって、持続可能な会社、地域をつくっていくことは可能であるはず。そのためにも、どこよりも熱心に学びあうとかち支部、学んだことを積極果敢に実践する企業になっていきましょう。

3.会員拡大に向けて

 4月13日に開催された北海道中小企業家同友会第5回常任理事会では、「2020年度末の会員数(全道)が5,718名となり、期首より203名減少した」との報告がありました。これはコロナ禍にあって退会者が増えたことと、活動の中止や延期等により、入会者が増えなかったという理由によるものでしょう。内訳を見ると、「会歴の浅い会員」「設立年数の短い企業」「規模の小さい企業」ほど退会が多い、という結果が出ています。また、業種ではサービス業の退会が目立っており、明らかにコロナ禍の影響が大きいと考えられます。やむを得ない事情により退会せざるを得なかった企業もあったに違いありません。
 そんな厳しい環境にあるからこそ、我々は中小企業家同友会に入会する意味や価値を伝え続けなければなりません。同友会は「学び」が主体の会であり、自社に応用可能な具体的事例に触れることのできる例会、勉強会、セミナーが数多く用意されています。また、部会活動をはじめ、同友会会員同士が協力し合って事業を興すなど、意義のある実践活動が展開されています。
 「コロナ禍だから自社を守るのに手一杯」という消極的な経営姿勢から、「コロナ禍だからこそ、企業変革に取り組に、新しいことにチャレンジをする」という積極的な経営姿勢に転換することが重要です。コロナが終息しても、元の世界には戻らないと言われています。地域をより発展させ、持続可能で強靱な自社と地域をつくるためには、今まで以上に学ぶことに熱心な企業経営者が求めらるのです。
 感染リスクを抑えるため、当面はオンラインを活用しながら、不自由な同友会活動が続くに違いありません。しかし、この1年の経験を踏まえ、支部例会はじめ同友会活動の開催方法を改善するなど、とかち支部として可能な限り、会の活性化を目指していきます。
 とかち支部の会員が増えることは、支部活動がより活発になることであり、十勝の発展につながっていくものです。会員拡大に向け、未会員の紹介にご協力をお願いします。また、過去に在籍された元会員の方々に対しても、声掛けし、ぜひ再入会をお勧めください。
 2021年度もよろしくお願いいたします。

2021年4月20日

一緒に学び、実践する仲間を増やし、持続可能で強靱な会社、地域をつくろう!