地域内のさまざまな産業がバランスよく成長・発展できる一年に!

あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。

1.「2021年わが社の経営戦略」を見て

 首都圏を中心に新型コロナウイルス感染者が急拡大する中で新年を迎えることとなりました。昨年に続き、今年も感染防止対策と経済活動をいかに両立させるか? 難題が突きつけられています。
 今年は北海道同友会の新年交礼会が中止となりました。代替企画として「2021年わが社の経営戦略」と題し、各支部から1名ずつ自社の経営戦略を語っています。ぜひご覧になってください。私もひとり10数分の動画を見ながら、大いに考えさせられるところがありました。
 野口観光(株)野口秀夫社長(西胆振支部)は、「コロナだから……ではなく、コロナをきっかけに新しい取り組みをする必要がある」「幹を残し、枝葉を変える 大刷新」「安心だという気持ちを払拭する」と語っています。また、(株)エレコムの相馬督(たかし)社長(札幌支部)からは、「昨年前半は苦戦したが、後半からウェビナーやバーチャル展示会を開催することで売上が伸びた」との報告がありました。
 変えてはいけないものと変えるべきものとを区別し、若手社員や協力会社の力を活用しながら、新しいプロジェクトにチャレンジする。それが、コロナ禍の今こそ重要なのではないでしょうか。
 武部建設(株)武部豊樹社長(南空知支部)の発表には、「大工育成3カ条」というものがありました。「1.教えすぎない」「2.見守る」「3.みんなで育つための環境と機会をつくる」。業種は異なっていても、自社の人材育成にもあてはまる考え方といえそうです。
 新年交礼会が中止になっても、例会やイベントがオンラインになっても、できることや学べることがたくさんあるはずです。自社の事業活動においても、あらゆる可能性を模索し、トライ&エラーを重ねながら、成長戦略を描いていきましょう。

2.中小企業に対する圧力

 コロナによって、世界中で矛盾と格差が顕著に現れています。大手ITをはじめ、空前の好業績を上げる企業がある一方、地域企業、とりわけ飲食や観光関連産業は大きなダメージを受けています。地域経済は、地域企業が深く関わり合いながら成り立っています。昨年末、日経ビジネスで「地域が壊れていく」という特集が組まれましたが、そのようなことが実際に起こってはなりません。
 さらに懸念されるのは、「地銀や中小企業の再編」という方針が菅政権から打ち出されている点です。成長戦略会議の中では、元外資系証券アナリストのデービッド・アトキンソン氏と日商の三村明夫会頭が中小企業政策をめぐって、議論を戦わせています。残念ながら、「生産性の低い企業は退出させなければならない」「一番重要なのは企業規模」というアトキンソン氏の主張に傾きかけているのが実情です。
◎内閣官房 成長戦略会議 https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/seicho/
 「生産性向上と再編圧力」が強まる中で、業態変革を行う必要に迫られる企業が増えていくはず。野口社長の「大刷新」という覚悟が求める年ではないでしょうか。

3.新たな地域経済循環のあり方

 昨年10月から週1回ペースで会員企業訪問をさせていただいています。その中でいつも感じることは、みな「十勝への思いが強い」ということです。コロナ禍にあって、自社のことよりも異業種の業況や地域経済全体について心配される会員が多いのです。
 コロナがいつ収束するのかにもよりますが、2021年は昨年にも増して厳しい経営環境になることが予想されます。今は第3波の真っ只中にありますし、昨年調達したお金が底をつくところも出てくるでしょう。あらゆる手を講じて自社を存続させる必要があると同時に、社員さんを路頭に迷わせないよう、経営者として責任を果たさねばなりません。
 同友会の「会員間取引の3つの申し合わせ」の中に、「同じものを買うなら会員企業から、会員にはなるべく安くて、良いものを提供する」という文言があります。できるだけ会員企業、地元企業から購入する。こうした消費行動、調達行動は、コロナ禍にある今だからこそ重要であると考えます。ぜひとも、地域経済循環について活発に議論し、「どうすれば地域内でお金を回すことができるのか」について考えを深め、実際に行動に移すようにしていきましょう。
 自社の「大刷新」(業態変革)を行うにも、時間がかかるものです。変革のための半年、1年という時間すら残されていない企業もあるかもしれません。地元で買えるものは地元企業や店舗から購入する。この行動を会員企業853社で徹底する。経営者ばかりでなく、各会員企業の社員さんにまで広げることができれば、地域経済に少なからぬインパクトを与えることになるでしょう。変革のための時間を確保する上でも有効です。
 とかち支部では、次年度に向けて「2021年度重点方針」をまとめる時期が近づいてきました。地域のさまざまな産業がバランスよく成長・発展できるよう、地域経済循環を念頭に置いた方針を柱のひとつとして掲げたいと考えています。皆さまからご意見やアイデアをお寄せいただければ幸いです。
 チャンスとリスクがあふれる2021年が始まりました。各企業にとって、今年一年が素晴らしい年になるよう祈念するとともに、とかち支部活動に対するさらなるご理解とご協力をお願いいたします。

2021年1月13日

地域内のさまざまな産業がバランスよく成長・発展できる一年に!