激動の時代だからこそ、ここ十勝からイノベーションを生み出そう!

1.第37回全道経営者〝共育〟研究集会 in 札幌

 10月7日(金)、8日(土)、第37回全道経営者〝共育〟研究集会 with 全道青年部・後継者部会交流会(道研)「SAPPORO INNOVATION ~激動の中を仲間と共に~」が札幌で開催されました。昨年の苫小牧道研はオンライン開催。リアルに開催されるのは実に4年ぶり、2018年のとかち道研以来となりました。
 減少傾向とはいえ、コロナ新規感染者数はまだまだ油断ならない状況にあります。それでも、今回の札幌道研に見られるように、同友会のさまざまな活動が正常に戻りつつあります。ただ単純に以前の状態に戻ったわけではありません。withコロナとして、以前には部分的にしか導入されていなかったオンラインおよびデジタルの活用が急速に普及していきました。これは大きな進歩といえるのではないでしょうか。ちなみに、私が参加した分科会は報告者がコロナに感染したためZOOMで講演されていました。多少のアクシデントでは中止にならない。ここにもオンラインのよさがあると思います。
 今年の札幌道研では、19分科会のうち4分科会がオンラインまたはハイブリッドで開催されました。また、2日目に行われた(株)コンサドーレ代表取締役GM、三上大勝氏による記念講演「北海道とともに、世界へ!」も、会場参加とオンラインのハイブリッド形式。リアルに参加し、直接講演や事例報告を聴いたり、グループ討論に参加する方がよいことは疑いありません。けれども、仕事があってなかなか参加できない、一泊して参加するだけの時間的余裕がない……という会員にとって、オンラインは有力な選択肢となったことでしょう。
 完全オンラインだった昨年の苫小牧道研、そしてハイブリッドの札幌道研。コロナ禍の道研をきっかけに、イベントのあり方、参加の仕方について我々の意識が大きく変わっていることに改めて気づかされたのではないでしょうか。

2.SDGsとDXに関するアンケートを踏まえて

 とかち支部では今年8月、SDGsとDXに関して支部会員を対象にアンケート調査を実施しました。アンケート結果はとかち支部のHPに掲載されている通りです。
https://tokachi-obihiro.doyu.jp/info/post-20689/
 この結果を踏まえ、10月3日の十勝毎日新聞1面に「クラウド化やリモート対応 DX6割が理解 十勝はIT先進? 人材不足課題に 同友会が意識調査」という記事が掲載されました。今回のアンケートは会員企業100社に回答をいただきましたが、これをもって十勝がIT先進地とは判断することはできません。しかし、少なくともSDGsやDXに関心を持っている、自社での取り組みを意識している企業が他地域よりも多い、と考えてよいのではないでしょうか。
 今年は帯広市開拓140周年の年でもあります。民間主導で開拓が始まった十勝には、新しいことに対して積極的に取り組もうとするDNAが備わった企業、困難をチャンスに変えようと試みる企業が多いと思うことがあります。SDGsやDXには限りません。困難に出合うほど、あるいは世の中が変化すればするほど、開拓者精神が刺激され、活発に動き出す企業経営者が十勝には大勢いるのではないでしょうか。
 コロナ禍、そして緊迫化する国際情勢、原材料の高騰・品不足。さらに一気に進んだ円安……。経営環境の逆風と思われる事柄を挙げていけばキリがありません。どのような状況にあっても道を切り開こうとする十勝の企業家マインドは、地域にとって大きな希望といえるものです。十勝のよりよい未来を築いていくためにも、とかち支部会員企業が今後とも地域を牽引していく必要があると考えています。

3.地域企業に求められるイノベーション

 グローバル企業と異なり、我々地域企業には「地域のためになる企業活動を行うこと」と「地域内でまとまっていくこと」が求められています。しかし、その一方でグローバリゼーションの流れは止められません。地域内で経済活動が完結するのは一部の業種・業態に限られるでしょう。このため、域外企業との協力関係を強化したり、十勝管外への販路拡大を目指すことも重要な取り組み課題と言えるのではないでしょうか。
 十勝は全国的にも注目度の高いエリアとなっています。近年、グローバル企業が実験的な活動を行ったり、ワーケーションの拠点とするなど、十勝と首都圏を行き来する企業、個人が増えています。元請け・下請けという関係ではなく、対等な関係の中でのコラボレーションも増えつつあります。地域企業にとって、域外へ事業を展開できる可能性は今後ますます広がっていくことでしょう。
 地域経済循環率を高めながら、域外の需要を取り込んでいく。積極的に十勝管外に活動領域を拡大したり、販路を求めていく。そのような姿勢が求められていると考えます。140年前の開拓は「十勝」が対象エリアでしたが、これから進めていく開拓は、管外、道外、国外、あるいはデジタル空間だったりすることでしょう。
 このため、同友会での学びはマネジメントに加え、マーケティングがより重要となっていくのではないかと思います。とかち支部では部会、研究会が活発に活動しており、ユニークな取り組み事例がいくつも誕生しています。札幌道研テーマにあった「イノベーション」という言葉は、まさにとかち支部にぴったり当てはまるものです。とかち支部会員企業の中から今後ますますイノベーションが生み出されるよう、学びと実践、さらに仲間づくりを積極的に行っていきましょう。

2022年10月11日

激動の時代だからこそ、ここ十勝からイノベーションを生み出そう!