1.円安は逆境でもあり、自社を変える好機でもある
9月9日現在、円相場が143円台にまで下落しています。24年ぶりとなる円安・ドル高水準。企業物価、消費者物価ともに、今後さらなる物価高騰が予想されます。輸出関連企業にとっては追い風となりますが、大多数の地域企業にとって逆風。苦境に立たされている企業も多いのではないでしょうか。同友会会員同士助け合い、支え合うことが求められます。また、このような厳しい時代だからこそ、自社を変革するチャンスでもあります。前向き、積極的に捉えて、激変の時代を乗り越えましょう。
日本はコロナ感染拡大防止のため、今も厳格な水際対策をとっています。1日あたりの入国者上限を2万人から5万人に引き上げましたが、日本経済に及ぼす影響は限定的。観光産業にとっては絶好のチャンスという中で、歯がゆい思いをしている人が多いことでしょう。観光は裾野が広い産業です。地域全体への大きな波及効果が期待できます。個人客の受け入れ再開、上限撤廃を求めたいところです。しばらく、時間はかかると思われますが、解禁後には大きなインバウンド需要が待っています。好機到来に備えましょう。
コロナ新規感染者が高止まりする中ではありますが、8月28日(日)、農業経営部会による第32回収穫感謝祭が開催されました。例年通りのスタイルで開催されるのは3年ぶりのこと。朝方は雨に見舞われましたが、開場してからは天気も持ちこたえ、大勢の来場者に楽しんでいただけたことと思います。十勝管内で行われるイベントも、今後徐々にコロナ前の開催方法に戻っていくことでしょう。withコロナの中で、経済活動を活発に展開していき、私たちは原料高や円安を跳ね返していかねばなりません。
2.「説得する」より「話を聴く」
9月1日(木)、2日(金)、仙台で開催された「北海道・東北ブロック支部長・地区会長交流会 in 宮城」に参加してきました。2日間で3つの事例報告があり、それぞれ深く考えさせられるものがありました。その中でも、私がもっとも強く印象に残ったのは、後藤海産代表の後藤清広氏(宮城同友会・南三陸支部)の報告でした。東日本大震災によってカキのいかだがすべて流出。カキ部会長となった後藤さんは、災害をきっかけに、過密養殖を改め、海に負担をかけない漁業への転換を図ろうとします。しかし、互いにライバル関係にある漁業者全員の同意を得るのは容易ではありません。後藤さんは「説得するより話を聴く」ことに努めたといいます。異なる意見を否定しない。けれども、自らの信念や軸となるものは動かさない。「未来にあるべき業業の姿を毎日話し合い、ようやくひとつにまとまることができた」という話でした。
業種は違えども、私たちの会社にもまったく同じことがあてはまるのではないかと思って報告を聴いていました。異なる意見が多数存在するという点では、自社もとかち支部も同じ。さまざまな事柄で意見が割れることもあると思いますが、自社の理念、同友会の理念に立ち戻って、「あるべき姿」について話し合う。それを粘り強く続けていくことで組織はまとまっていく。そんな当たり前のことに改めて気づかされた事例報告でした。説得しようとはせず、まずはしっかり話を聴く。私も心がけようと思います。
3.みんなで道研に参加しましょう!
中小企業家同友会には支部例会をはじめ、各種セミナー、勉強会があります。それらの多くは、事例報告を聴き、グループ討論をするというスタイル。インプットとアウトプット。これが気づきにつながる。非常に効果的な学び方ではないかと思います。
北海道同友会での最大の学びの場といえば、やはり道研でしょう。「第37回全道経営者“共育”研究集会 in 札幌」が10月7日(金)、8日(土)の2日間にわたって開催されます。リアル開催は2018年の「とかち道研」以来、実に4年ぶり。この間、入会された会員も大勢いますから、道研をまだ知らないという方が多いのではないでしょうか。他支部の会員との交流を深めながら、新たな学び、気づきが得られるに違いありません。なお、今年の道研は「全道青年部・後継者部会交流会」を兼ねて開催されます。若手経営者、後継者の積極的な参加を期待しています。
とかち支部の活動の中では、10月6日(木)から開講される「第50期中堅幹部学校」に注目していただきたいと思います。1977年に開講した中堅幹部学校は50期の節目を迎えます。卒業生は900名を超え、信頼のおける幹部として各企業を支えています。歴史ある中堅幹部学校に自社の幹部および幹部候補生をご派遣ください。
中小企業の多くは「地域企業」です。地域に貢献することで自社が成長・発展していく。地域と無関係ではおられません。また、別な側面から見ると、地域の企業や消費者からさまざまなことを教えられて自社の人材が育っていく……とも言えるのではないでしょうか。自社単独で人材育成ができる企業は限られています。中堅幹部学校のように、異業種の人たちと交流しながらスキルアップを図っていく。同友会にはそのような場が多数用意されています。同友会会員(経営者)は各種会合に参加することで多くの刺激を得ています。同じように、自社の社員さんにも成長の機会を提供していただきたいと思います。支部例会やセミナーへの派遣をご検討ください。
あわせて、引き続き未会員のご紹介もお願いします。同友会があることは知っていても、会の中身を知らない、活動内容を知らないという企業経営者はまだまだ大勢います。会の魅力や価値を伝え、支部例会等にゲスト参加を促したり、激友会への参加をお誘いください。会員が増えるほど、とかち支部は活性化し、地域経済に好影響をもたらすことにつながることでしょう。
2022年9月12日