同友会運動の原点に立ち戻り、「経営姿勢の確立」に努めよう!

あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。

1.コロナ第8波と「新たな日常」

 1月5日、新型コロナウイルスの新規感染者が全国で22万人を超えました(北海道は5582人)。累計では約2980万人。実際の感染者数は公表数よりも多いとみられます。いつ誰が感染しても不思議ではないという状況。インフルエンザとの同時流行によって医療機関のひっ迫が心配されています。皆さま十分ご用心ください。
 そのような中にあっても、この年末年始、政府や自治体による行動制限はありませんでした。政府は、感染症法上の位置づけを「2類」からインフルエンザと同等の「5類」に引き下げる方向で検討しています。私たちはウィズ・コロナを受け入れ、「新たな日常」を取り戻すことが求められています。
 身近な人々がコロナに感染する。これはごく普通の光景となっています。企業経営者として頭が痛いのは、自社の業務に支障を来すことではないでしょうか。この仕事はその人にしかできない。そうした属人化している業務があると、自社にとって大きなリスクとなります。属人化を解消し、業務の標準化を図る。これは平時であっても重要なことでしょう。コロナ禍の今を好機と捉え、属人化解消に取り組む企業が増えていくのではないでしょうか。
 この3年間、人々のニーズも消費行動も大きな変化を遂げました。私たちの企業も世の中や消費者の変化に合わせて、変わっていかねばなりません。業種によっては、業態変革、業種転換を迫られていることでしょう。2023年は自社の変革に取り組みながら、「新たな日常」を模索する年となるのではないかと思います。

2.同友会運動の歴史と理念

 とかち支部の活動も、現在ではほぼ「日常」に戻っています。ZOOM参加という選択肢が増えたものの、会場参加が基本であることに変わりはありません。ぜひ、積極的に会に参加し、運営にも関わるなど、同友会を最大限活用するようにしましょう。
 同友会は1957年4月、東京に誕生しました(当時の名称は日本中小企業家同友会)。当時はいわゆる「朝鮮特需」で経済は活況を呈していましたが、大企業と中小企業の格差が深刻化。中小企業は過当競争、価格競争にあえいでいました。同友会を創設した先人たちは「中小企業家の自主的な努力と団結の力で自覚を高め、中小企業を守り、日本経済の自主的で平和的な発展を目指す」という道を選択しまました。設立趣意書には、冒頭に「天は自ら助くる者を助く」とあります。市場、金融、税制、労使間の紛争といった多くの課題を自分たちの力で解決していこう、そのための新しい中小企業運動を創造していくのだ、という決意が力強い文章で表されています。
 今日の中小企業、地域企業が置かれている経営環境と通じるところがあるのではないでしょうか。コロナ禍によって、業種間および企業間格差は拡大しています。円安とインフレによって実質賃金が低下する中、大企業と中小企業の賃金格差はこれまで以上に広がることでしょう。中小企業の人材確保はますます困難なものとなるかもしれません。
 私たちは同友会設立当時、あるいは明治時代にベストセラーとなったサミュエル・スマイルズの「自助論」の精神に立ち戻り、激変する経営環境にあっても、自分たちの力を信じ、自社を成長させていくことが求められているのだと考えます。

3.自社および地域の人々の気持ちを前向きに変える

 素晴らしい商品・サービスとはどういうものなのか? さまざまな答があると思いますが、解答のひとつに「人の気持ちを前向きに変えるもの」があると思います。素晴らしい商品・サービスに出合うと自分の気持ちが前向きになる。そんな経験を誰もが持っているはずです。
 コロナ禍、ウクライナ情勢、インフレ、将来に対する不安……。さまざまな要因が重なって、ネガティブな思考に陥っている人が増えているのではないかと思います。また、コロナ禍の3年間、常にマスクを着用し顔の半分以上を隠してきたため、人とのコミュニケーションに不安や恐れの気持ちを持つ若手社員もいるかもしれません。
 企業の役割は、たとえどのような世の中であっても、人々の気持ちを前向き、建設的、積極的なものに変えていく力を持った商品を提供するところにあると考えます。そのような価値を生み出し、実際にお客様に提供することで、自社の社員さんも前向き、建設的、積極的な気持ちになっていくものです。企業経営者の務めは、人材育成、商品の開発と改善、サービス向上のための取り組み、働く環境づくりの整備等を実践し、気持ちが前向きになるような社風・企業文化を創造するところにあるのではないでしょうか。
 前述の通り、中小企業家同友会は自助論の精神を出発点に誕生し、その後「中小企業における労使関係の見解(労使見解)」(1975年)が発表されました。労使見解の骨子は「経営者の経営姿勢の確立」「経営指針の成文化と全社的実践」「社員をもっとも信頼できるパートナーと考え、共に育ちあう教育を重視する」「外部経営環境の改善に労使が力を合わせていく」の4つ。労働運動の激しい時代、「対立」ではなく「社員をパートナー」と認識した点が注目されます。また、自らの「経営姿勢の確立」を第一に説いている点は、半世紀近く経過した今日にもそのまま当てはまる金言と言えます。
 2023年は厳しい経営環境に立ち向かい、自分、自社、地域を前向きに変えていく年にしていきましょう。今年もよろしくお願いいたします。

2023年1月10日

同友会運動の原点に立ち戻り、「経営姿勢の確立」に努めよう!