業態変革、企業変革を推進し、あらゆる企業が成長可能な地域を目指そう!

1.2020年度とかち支部活動を振り返って

 2020年度とかち支部活動も最後の月となりました。新支部長として至らぬ点が多々あったことと思いますが、多くの方々に支えられながら1年の締めくくりを迎えようとしています。深く感謝申し上げます。
 新型コロナウイルス感染症拡大により、例会や会議に集まることすらできない、という異常事態の中で2020年度はスタートしました。それでも、他団体の多くが活動休止に追い込まれる中、北海道中小企業家同友会の多くの支部はZOOM等を活用するなどして、支部活動を継続。延期を余儀なくされた新入社員研修会、中堅幹部学校、3年目研修、十勝経営者大学も無事実施することができました。ひとつ残念だったのは、例年3月末に行われている合同入社式が開催できなかったこと。2020年度の新入社員の皆さまには申し訳ない気持ちでいっぱいです。
 1年間を振り返り、「もっとすべきことがあったのではないか」という思いもありますが、コロナという未曾有の危機に直面している今こそ、「人を生かす経営」を実践し、経営指針、経営方針の見直しを行うことが大切なのだと考えます。「学び」と「実践」、どちらも大切であることは言うまでもありません。学びだけで実践しないのは無意味ですし、学ばないまま実践にだけ力を入れるのは無謀と言うべきです。
 2020年度は「できるだけ不用意に動かないこと」が求められた1年でした。2021年度は「どのように学びと実践の両輪を動かすか」について、考え、行動する年にしていきましょう。

2.今の時代に合ったコミュニケーション

 オンライン例会、会議、ミーティングが当たり前のように行われています。これは1年前には考えられなかったこと。「ZOOMはどうすれば使えるか」といった話が飛び交っていたのを覚えているでしょうか? ここ1年で状況が変わりました。オンライン会議、オンライン営業が行われたり、テレワークを採用するようになった企業も増えていることでしょう。コロナによって不自由さを感じる一方、ICTを活用することでコミュニケーション不足を補ったり、業務の効率化を進めることができているのです。
 ただし、「直接会う機会が減って、コミュニケーション不足になっている」と感じている会員が増えていることも事実。先日開催された「激友会」の中で、話題提供していただいた山本英明元支部長、藤森裕康前幹事長は、異口同音に「共有している時間が長いほど親しくなれる」と語っていました。これは社員さんに対しても、同友会の仲間に対しても当てはまること。直接会う、直接話す機会を増やすことが大切ですし、コロナの状況にもよりますが、一緒に食事ができるになることが望ましいことは間違いありません。
 ICTを使ったコミュニケーション……というと冷たく感じられるかもしれませんが、コロナ禍を機に働き方は大きく変化しました。フェイス・トゥ・フェイスでなければ伝わらない、と決めつけるのは古い考えかもしれません。先日の新聞に「1 on 1(ワン・オン・ワン)ミーティングでコミュニケーションが活性化した」という事例が載っていました。オンラインによる個人面談とチーム単位の朝礼で一体感が高まったというのです。コロナ禍が長引くと考えれば、ICTの活用をもっと真剣に考えなければなりません。

3.「K字型」ではなく、バランスのとれた地域経済に

 2021年の世界経済は「K字型」と言われています。明確な回復基調にある企業(またはコロナが追い風となった企業)と回復が遅れている企業(あるいはさらに落ち込んでいる企業)。二極化が進んでおり、その図式は日本経済、地域経済にもそのまま当てはまりそうです。IT後進国とも言える日本経済は、コロナ前のGDPに戻るまで数年かかるという予測もあります。企業ごと、産業ごとの強弱が、今後より鮮明になっていくものと思われます。
 十勝経済には底堅いものがあります。しかし、「K字型」景気のもたらすリスクについて、とかち支部としても真剣に向き合う必要があるのではないでしょうか。社歴の長い企業であれば、好不調、ときには経営危機を経験してきたはずです。また、個々の企業ばかりでなく、経営環境の大きな変化によって、業界全体が逆風にさらされることもあるでしょう。コロナはいずれ収束するにしても、K字型によって格差は今後さらに拡大することになるかもしれません。地域全体のバランスのとれた発展を目指すには、右肩下がりの企業、産業を上向きに変えていくような働きかけが不可欠です。
 中小企業庁は3月、中小企業等事業再構築促進事業として「事業再構築補助金」を公募しています。コロナ禍でダメージを受けた中小企業の業態変革(転換)を大規模に促進していこうという方針です。政府の「成長戦略実行計画」には賛否両論さまざまな意見があるかと思いますが、政策の是非はともかく、中小企業(特に中小企業家の意識)は今後大きく変わっていかねばなりません。
 昨年はコロナ対応の特別融資や各種給付金の効果もあって、企業の倒産件数は20年ぶりの低水準となりました。しかし、一方では企業の休廃業が5万件に達し、過去最多となっています。コロナ禍で見通しが立たない、あるいは後継者がいないといったケースが増えているのです。地域企業の減少はそのまま地域の衰退につながっていきます。いかにすれば、事業活動を存続・成長させられるのか? 自社の課題と地域の課題をリンクさせながら、会員同士で学び合い、語り合う。そして、地域経済循環に向けた取り組みを行っていくことが、とかち支部に求められている役割のひとつではないかと考えています。ぜひ、皆さまの声をお聞かせください。
 20201年度も、お力添えをよろしくお願いいたします。

2021年3月8日

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