1.とかち支部第49回定時総会を振り返って
4月24日(月)、とかち支部第49回定時総会、記念講演会、懇親会が開催されました。大勢の会員、そしてご来賓の方々にお集まりいただき、改めて感謝申し上げたいと思います。
総会では、冒頭に北海道中小企業家同友会の長江勉副代表理事より、2023年度全道活動方針案の説明がありました。続いてとかち支部の2022年度活動報告・決算報告、2023年度活動方針案・予算案が提案され、いずれも承認をいただきました。2022年度の活動報告書を読み返してみると、コロナ禍とは思えないほど活発な活動が展開された一年だったのではなかったかと思います。特に大きな目玉となるイベントはありませんでしたが、地域企業を取り巻く経営環境が激変する中で、よく学び、事業活動に対して果敢にチャレンジする会員企業が多かったのではないでしょうか。
2023年度活動方針では、刺激的な文言は避け、基本に立ち戻るようなスローガン、重点方針としました。すでに外部環境は激変しており、今後も変わり続けます。浮き足だった変化対応ではなく、今こそ「人を生かす経営」に基づく同友会会員らしい企業変革が求められていると考えたためです。2023年度も「学び」と「実践」の両輪で、自社、地域の成長・発展を目指して邁進していきましょう。
総会後の記念講演では(株)そらの代表取締役、米田雄史氏が登壇。「十勝の魅力と可能性 ~『なぜ十勝』を『だから十勝』に」というテーマで語っていただきました。地方創生ベンチャーとして注目を浴びる同社。とりわけ帯広市中心市街地の将来について関心を持つ参加者が多かったに違いありません。ご来賓の方々も大半が記念講演から参加されていました。注目度の高さとともに、非常に中身の濃い講演となりました。
また、懇親会は久々にパーティションのない、開かれた形で実施することができました。まだまだ油断するわけにはいきませんが、懇親会の開催形式に見られるように、徐々に本来の姿へと戻りつつあります。アフターコロナを実感する懇親会となったのではないでしょうか。
2.自社の「魅力」を「コア・コンピタンス」に
今、改めて思い返すと、「十勝の魅力と可能性 ~『なぜ十勝』を『だから十勝』に」という米田氏の記念講演テーマには、深く考えさせられるものがあります。十勝の魅力に十勝人が気づいていないというケースもありますし、不意を突かれる形で自分の知らなかった十勝の魅力を教えられることがあります。「なぜ」を「だから」に変えることができれば、これまで以上に十勝の魅力を全国、世界に発信できるに違いありません。
同様に、「十勝」を「自社」に置き換えてみると、さらに興味深い事実が浮かび上がってきます。「自社の魅力と可能性」ということです。自分の会社のことは自分が一番よく知っている……。そう信じ切ってはいないでしょうか? 案外、企業経営者は自社の本当の魅力について気づいていないことがあるような気がします。顧客や協力会社の人から言われて、ハタと気づく場面があるものです。
自社の魅力とは言い換えれば「自社の強み」であり、それが強化されれば「コア・コンピタンス」(他社に真似できない核となる能力)となるでしょう。魅力が増していけば、自社発展の可能性が広がっていく。自社の魅力、能力、価値、強み、そしてコア・コンピタンスの存在に気づくことがまず重要です。それを計画的、継続的に強化していくことで自社の成長・発展につながっていくのだと思います。
なぜ、お客様は他社からではなく自社から商品を購入するのだろう? そんな疑問を感じることはないでしょうか。「なぜ」が「だから」に変われば、より精度の高い経営指針、事業計画を立てることが可能となっていくはずです。
3.「中小企業淘汰論」を打破しよう
同友会活動を長年続けていると、「中小企業の魅力はどこにあるのだろう?」と考えることがあります。同友会会員の皆さまも、同じように「中小企業とは何なのか」思いを巡らせる時間があるのではないでしょうか。
よく、日本企業の生産性の低さがやり玉に挙げられることがあります。確かに、日本の労働生産性はOECD加盟国38ヵ国中27位と低迷しています。さらに言えば、大企業よりも中小企業のほうが低い。日本は生産性の低い中小企業を手厚く保護しすぎているとして、「中小企業淘汰論」を主張する人もいます。この淘汰論を我々中小企業家は打破しなければなりません。
言うまでもなく、中小企業の大半は「地域企業」であり、地域にとってなくてはならない存在です。ひとつの中小企業が消えることで、その地域に住む人々が不便な思いをする、不利益を被ることになるわけです。中小企業淘汰論をそのまま進めてしまえば、大都市への人口集中がさらに進み、地方経済は衰退、地域が過疎化していくことになりかねません。
これまで経験したことのない特殊な環境に置かれたコロナ禍の3年間。これが終わりを迎え平時に戻ってみると、そこには中小企業にとって厳しい経営環境が待ち受けています。原材料高と人手不足。業界によっては顧客ニーズの急変に戸惑うところもあるでしょう。コロナ禍の3年間で働き方、コミュニケーション、ビジネスの進め方も大きく変わりました。元に戻すのか、さらに変えていくのか。各社苦慮していることと思います。
激変する経営環境の中、我々中小企業家は企業変革を通じて「自社の魅力を高めること」と「生産性の向上」の両方を推し進めていかねばなりません。大企業にはない価値を生み出し、入社したいと思う人が増えるような魅力ある企業を共に創っていきましょう。
2023年5月15日