1.第7回理事会より
3月7日(火)、北海道中小企業家同友会第7回理事会が開催されました。議題は「10%プロジェクト(会員増強)」「各支部総会」「新型コロナウイルスへの対応」「第55回定時総会(全道総会)」など。理事会でもっとも時間を費やしたのは、定時総会で提案される「2023年度活動方針」の一次案についてでした。50分にわたるグループ討論。その後、全グループから意見集約が発表されました。グループ討論に参加して感じたのは、「人材の採用・育成」と「人を生かす経営」に対する問題意識が高まっているという点です。私の参加したグループでは、採用と人の定着がますます困難になっているという事例が報告されていました。
中小企業家同友会では長年にわたり「人を生かす経営」を推進しています。これは政府が掲げる「働き方改革」の考え方を先取りしたもの。1975年の労使見解発表から約半世紀。経営環境の変化に悩み、苦しみながらも、「人」を第一に考え、働く環境づくりに注力してきた歴史があります。
2022年度北海道中小企業家同友会のスローガンは、「激変を乗り越える同友会づくり、企業づくりをすすめよう」でした。激変の時代はまだまだ続くに違いありません。3月13日からマスク着用に対する国の基本的対処方針は「着用は個人の判断に委ねる」こととなりました。5月8日からは季節性インフルエンザと同じ「5類」に引き下げられます。いわゆるアフターコロナに近づくわけですが、これまで通りの経営環境に戻るというわけではありません。ゼロゼロ融資返済の負担が重くのしかかってきます。また、コロナ禍で顧客ニーズが大きく変化したため、業態変革を迫られている企業も多いことでしょう。「人を生かす経営」と「業態変革・経営革新」によって、顧客からも学生・求職者からも「選ばれる会社」になることが求められています。
2.2022年度とかち支部活動を振り返って
コロナ禍の3年あまり、とかち支部では活動を止めることなく「できる方法を考え実践する」という方向で支部活動、委員会・部会・地区会活動を行ってきました。2020、21年度は感染防止を第一に活動を行ってきましたが、今年度の支部活動はほぼ平時に戻ったと考えてよいでしょう。
農業経営部会の収穫感謝祭は通常通りの実施形態となりました。国際交流ビジネス委員会ではタイ王国視察研修を実施。さらに、とかち財団LANDとともに「押忍!ビジネスお悩み解決道場」を開催するなど、他団体の連携も積極的に進めています。外に向けた活動がいっそう活発になった一年と言えるのではないでしょうか。
また、2022年度経営指針研究会には13名が登録。とかち支部の延べ修了者は102名となりました。研究会に参加していなくてもすでに経営指針を作成している企業が多数あると思います。とかち支部における経営指針成文化運動は着実に進んでいると考えられます。SDGsとDXについても、7~8月に実施されたアンケート結果から、会員の意識が高まっていることがうかがえます。
こうした活動結果を踏まえ、2023年度重点方針をまとめ、とかち支部および会員企業の成長・発展につなげていきたいと考えています。今年度はとかち支部会員の皆さまの活発な活動のおかげで、会の魅力がアップし、支部会員数の増加傾向が続いています。現在、とかち支部会員は876名(3月8日現在)。一緒に学ぶ仲間をさらに増やし、新しい年度を迎えましょう。
3.生成系AIのインパクト
今年度はとかち支部重点方針のひとつとして、「SDGs経営とDXによって自社の価値を高めよう」を掲げています。SDGs、DXともに認知度は高まっていますが、「自社には関係ない」という経営者も少なくないと思われます。会員の関心の度合いに大きな落差があるように感じられます。しかし、本当に「自社には必要ない」で済むのでしょうか?
日本は国際デジタル競争力で世界から大きく後れをとっています(2022年度29位)。一方、今後自社に入社するのはZ世代(1997年生まれ以降)かアルファ世代(2010年生まれ以降)と呼ばれるデジタルネイティブの人たちです。自社の顧客や協力会社の人たちもデジタルネイティブの比率が高まっていきます。ましてや、仕事の進め方、消費行動、コミュニケーションのツールが、今後いっそうデジタル中心になっていくのです。
2022年11月、OpenAI(オープンエーアイ)から「チャットGPT」が公開され、今年に入ってからは毎日のように新聞等のメディアを賑わせています。チャットGPTとは質問に答える形で自然な文章を生成する人工知能(AI)。公開からわずか2ヵ月のうちにアクティブユーザーが1億人を突破したと言いますから、人気の沸騰ぶりがうかがえます。Windows 95の登場(1995年)、iPhoneの発売(日本では2008年)に匹敵する革命的ツールと言えるかもしれません。
チャットGPTに限らず、生成系AI(ディープラーニングを基にテキストや写真、動画、コード、データ、3D画像などの出力を生成または作成するAIアルゴリズム)が急速に進化しています。画像を生成できるMidjourney(ミッドジャーニー)やStable Diffusion(ステーブル・ディフュージョン)なども一部では使われるようになってきました。生成系AIには「フェイクニュースが増えるのではないか」といった否定的な見方もあります。使い方を間違えれば、大変なことになるかもしれません。しかしながら、知識を持った人が適切に管理すればリスクを防ぐことは可能です。うまく活用することで仕事効率の大幅アップが期待できそうです。新しい技術、トレンドに対して常に関心を持ち、自ら実践してみるという姿勢が、これからの時代の企業経営者には求められるのではないでしょうか。
2023年3月13日