1.原材料費高騰とウクライナ情勢
このところ、企業物価(企業間で取引するモノの価格)が上昇しています。3月10日、日銀は2月の企業物価指数を発表しました。前年同月比9.3%も上昇しています。これはオイルショックの影響を受けた1980年12月以来の高水準だそうです。中でも、広範囲に影響が及ぶのはガソリンを含む石油・石炭製品(34.2%上昇)。さらに、木材・木製品(58.0%)、電力・ガス・水道(27.5%)、鉄鋼(27.5%)など、25%以上上昇している品目があり、気になるところです。
支部四役の活動のひとつとして会員・未会員訪問をする中で、それぞれの業界の現況について話を伺うことがあります。ときどき「原材料の入荷するメドが半年以上立たない」といった深刻な実情を耳にします。また、原材料費の高騰を販売価格に反映できないといった悩みを多くの企業が抱えていることでしょう。コロナ禍から2年以上経過し、経営環境はさらに複雑になっています。今後どのように影響が及ぶことになるのか、見通しの立てにくい状況が続きます。
そんな中、2月24日、ロシア軍がウクライナに軍事侵攻するという異常な事態が起こりました。同友会の「3つの目的」の中には、「日本経済の自主的・平和的な繁栄をめざします」と記されています。これは「中小企業は平和な社会でこそ繁栄できる」との第2次大戦の教訓があるからです。皆さん心を痛めていることと思いますが、経済面でもコロナ禍に加えて、さらに大きな影響が及んでくることを覚悟せねばなりません。
3月10日に行われた北海道中小企業家同友会第6回理事会の中でも、藤井代表理事から「北海道は他地域に比べ、ロシアとの輸出入比率が高い」という話がありました。企業物価高騰とともに、国際情勢にも注意を払う必要があります。
2.2021年度とかち支部活動を振り返って
2022年度が目前に迫っています。2021年度の支部活動は2020年度同様、コロナ禍に翻弄された一年となりました。しかし、2020年度との違いを挙げるとすれば、活動が活発になった、できることを最大限行ったということではないでしょうか。2020年度では中止となった農業経営部会の収穫感謝祭が、今年度は感染対策を講じた上で形を変え実施されました。また、共育委員会が担当している合同入社式を無事開催することができました。まだまだ新型コロナウイルスが収束する気配はありませんが、やり方を工夫したり、オンラインを活用することで、ある程度正常化を図ることができたと言ってよいのではないでしょうか。
もちろん、とかち支部は数多くの課題を抱えています。最大の課題といえるのは、支部会員数の伸び悩みでしょう。昨年から、組織企画委員会や四役が精力的に会員増強運動を繰り広げ、一定の成果を収めることはできています。しかし、未会員企業を訪問すると「コロナ禍で人と直接会う機会が少ない中では、入会する意味が見いだせない」といった話をされることがあります。
現在、とかち支部の活動の多くはリアル+ZOOMで開催されていますから、そうした誤解を解きながら入会をお勧めしています。ただ、大勢の人が集まる場に参加しにくいという雰囲気がまだまだ残っていることは否定できない事実のようです。
行動しないこと、変化しないことが最大のリスク。よくそのように言われます。会員の皆さんのまわりに「コロナ禍が過ぎ去るまでじっとしていよう」とする企業経営者がいたら、ぜひ同友会の例会やさまざまな集まりにゲスト参加することをお勧めください。サミュエル・スマイルズの「自助論」に「天は自ら助くる者を助く」とあります。同友会もそのような考え方を地域全体に広げていく必要があると思います。是非とも、会員拡大にご協力をお願いします。
3.オンラインビジネスの可能性
北海道同友会各支部の活動内容を見ていくと、それぞれDX(デジタル・トランスフォーメーション)を意識した取り組みを始めようとしている段階のようです。札幌支部では「doyu商店街」というスマホアプリができています。登録してみると、多くの会員企業が名を連ねています。企業のホームページ、SNS、ECサイト、地図と紐付けされており、使い方によっては便利なツールと言えそうです。また、オホーツク支部では2月16日に「オンラインビジネス交流会」が開催されています。その他の支部においても、DXあるいは、オンラインを使った活動が積極的に繰り広げられることになるでしょう。
とかち支部の「オンラインビジネス研究会」も半年間の成果を発表する機会がやってきました。3月25日、成果報告会開催予定です。現在活動しているのは「電子書籍」「ライブコマース」「ウェブマーケティング」の3グループ。ライブコマースグループは2月23日にYouTubeでライブコマースを実施。電子書籍グループは3月5日「本屋と出版社が考える『本の楽しみの広げ方』」というブックトークイベントを開催。ウェブマーケティンググループからも新たは販売チャネルを構築するといった事例が生まれつつあります。
デジタルに疎い、DXにもオンラインにも興味はない……という会員の皆さんが多いことは承知しています。しかし、手書きからワープロになった1980年代、パソコンが欠かせなくなった1990年代、企業がホームページを持つようになった2000年代、スマホなしでは仕事が成り立たなくなった2010年代。時代とともに技術が変わり、仕事のやり方が変わり、消費者ニーズは変わっていきます。DXにもいずれ対応しなければならない時期が必ずやってくる。そう考えると、とかち支部の会員企業、そして地域企業やそこで働く人々は、できるだけ早いタイミングでDXまたはオンラインビジネスに慣れておくべきだと考えます。皆さん、いかがお考えでしょうか?
2022年3月14日