大谷短大生がゆく 「社長! 教えてください」

  • 第3回 ソーゴー印刷 株式会社(2016年6月10日 取材)

秘密結社ソーゴー印刷 ~ きゅんきゅんの陰謀 ~

会社について調べてみた件

今回の取材型インターンシップで私たちが向かったソーゴー印刷株式会社(以下、ソーゴー印刷と表記)の魅力をお伝えしたい。1954年8月に設立されたソーゴー印刷は現在十勝管内でも読者数が多いフリーペーパー「月刊しゅん」、道内の魅力を最大級に詰め込んだ情報雑誌「northern styleスロウ」(以下、「スロウ」と表記)を発行、販売している会社だ。
フリーペーパー「月刊しゅん」は、十勝で知らない人はいない! と多くの人が自信を持って伝えるほど認知度が非常に高い。
毎月載っているお店で使えるクーポンは目玉の一つで、誰もが一度は利用したことがあるのではないだろうか。実際に「月刊しゅん」の編集者の方もクーポンをよく利用するらしい。とてもお得なので使わないと損である。
「スロウ」は十勝の家庭に無料で配布されている「月刊しゅん」より認知は低いと思われるが、その個性的な表紙も相まって、多くの人は見たことがある! と思うだろう。編集者が独自の視点で北の暮らしや人、モノ、お話などを見つめ直し、北海道を楽しむための本である。
今回の取材で名前を知った可愛らしい「月刊しゅん」のマスコットキャラクター・きゅんきゅん(性別不詳)や何処か謎めいた神出鬼没の存在である「スロウ」のマスコットキャラクター・こぞうも魅力的だ。LINEスタンプではこぞうのLINEスタンプが好評配信中。きゅんきゅんの公式ツイッターも要チェックである。

 

社員さんに聞いてみた件

今回話を聞いたのは、スロウ編集者の家入明日美さん。
熊本県出身で帯広畜産大学に入学し北海道帯広市へとやってきた。大学時代は野生動物について研究していた。元々本が好きだったこともあり、動物に関する本を販売したいと思い、本を販売する側として就職することを考えた。本を販売する職をいくつも受ける中、ソーゴー印刷で「月刊しゅん」編集者の募集があることを知った。家入さんは元々「スロウ」のこと、各家庭に毎月配布されるフリーペーパーの「月刊しゅん」のことは知っていたが、そのどちらも同じソーゴー印刷が出版していることは知らなかったと言う。野生動物について研究していたこともあり、北海道の自然が多く取り上げられている「スロウ」が好きだったそうだ。ソーゴー印刷の求人情報を機に本を販売する側ではなく作成する側になりたいと編集者を志し、ソーゴー印刷に入社。「月刊しゅん」の編集者となった。2年間「月刊しゅん」の営業・編集として働いた後、念願のスロウ編集部へ異動。現在はスロウの編集者として活躍している。

 

比べてみた件

「月刊しゅん」と「スロウ」の一番の違いはフリーペーパーであるかどうかによるコンセプトの違いである。マーケティングのツールであり、広告収入を主とする「月刊しゅん」では、客の入りを増やす、商品を売るという明確なコンセプトがある。各お店のパートナーとして営業効果を上げることに重点を置いている。客数を増やすためクーポン等も多く取り入れている。毎号十勝の観光や食、レジャーについての様々な特集を組み、十勝を楽しむための情報を発信している。また、病院やビューティー情報など生活に関する情報も掲載している。帯広市、音更町、芽室町、幕別町、池田町に毎月戸別無料配布をしている発行部数約126,600部の十勝の密着型フリーマガジンだ。
一方、「スロウ」は各号ごとに編集者がテーマを決め、そのテーマに沿って取材をし、本にする。取材するのはそのテーマの分野のスペシャリストたち。編集者からみて憧れる人、考え方・生き方が尊敬できる人々。取材を通してより深く、より鋭く核心に迫っていく。相手の話に耳を傾けながら自分でも取材するテーマについてより深く、様々な角度から考えるという。広い北海道の中の、まだ見たことのない、知らない情報を読者に届けるのだ。様々な人との出会いが「スロウ」を作っている。また、「月刊しゅん」は十勝の情報を扱っているが、「スロウ」では全道各地が取材対象だ。1回の取材に2時間ほどかけ、じっくりと話を聞く。取材は基本的に編集者とカメラマンの2人で行う。編集者の興味・関心のある取材対象であれば、函館にも稚内にも車で出かけて行って取材を行う。そのため、働く上で運転免許は必須である。
他には特に必要な資格はないが、家入さんは学生時代に日本語検定資格を取得したという。 「月刊しゅん」編集部のスタッフには十勝の商業や観光、歴史をよく知るため「とかち検定」を受験している人もいるそうだ。フードコーディネーターの資格を取得した編集者もおり、表紙のレイアウトを決める際や撮影時などにその資格が役立っている。毎号の表紙のおしゃれで美味しそうな料理の写真はすべて社内でセッティングし、撮影している。

 

振り返ってみた件

今回ソーゴー印刷で取材をさせていただいて、文章の書き方や写真の撮り方など自分の役に立ちそうなことをたくさん教わることができたので、これからの学生生活で活かしたいと思った。
「月刊しゅん」や「スロウ」の編集の仕事のほか、工場にあるたくさんの機械も興味深い。インクの匂いを感じながらの見学などはインターンシップで機会をいただかなければ一生経験することはなかったと思うので取材に行くことができてよかった。また、取材という形で社会人の方に話を聞くのは初めてだったので、どのように話を伺ったらよいかよくわからず、家入さんにご迷惑をおかけしてしまったが、次は今回の経験を活かしてしっかりと行いたい。
今回教わったことはこれからの就職活動などに役立てたいと思う。

(取材・編集:帯広大谷短期大学地域教養学科1年「インターンシップⅠ」)
チームY:菅野 杏奈 / 近 侑希奈 / 高橋 倖生 / 吉川 美咲