大谷短大生がゆく 「社長! 教えてください」

  • 第11回 株式会社大野ファーム(2017年2月14日 取材)

芽室から全国へ!~十勝ブランドの贈り物~

大野ファームの紹介

ohno1.jpg今回私たちは、取材型インターンシップで株式会社大野ファーム様(以下、大野ファームという)を訪問させていただき、社長の大野泰裕様にお話を伺った。予定時刻より早く着いたので約束の時間まで取材を兼ねカフェCOWCOW Villageにお邪魔した。カフェは外装、内装ともにきれいで明るく、おしゃれで、特に窓が大きく外の景色が良く見えるのが印象的であった。窓はきれいに磨かれていて、ガラスがなくそのまま外に出られるような錯覚に陥った。飲み物もとてもおいしかった。ランチメニューは魅力的だったが、いただいている時間はなかったので次回のお楽しみとした。

大野ファームは、現在、女性12名、男性10名の計22名で仕事をされている。男女の割合は女性の方が少し多い。カフェがあることによるのだろうが、若い女性スタッフが多く、これからは農業を基盤とした6次産業での女性の活躍の場が増えていくのかもしれないと思った。

大野ファームでは、肉牛生産(乳牛去勢、黒毛和牛、和牛交雑F1の3種類)をメインにしている。肉牛のほかには、畑作で大豆・小麦・テンサイなどを生産し、カフェでは自家製のメニューを提供し、加工品の製造販売も行っている。加工品では、ケーキやハンバーグ・パンなどを作っており、パンはその材料である小麦も大野ファームが生産したものを使用している。まさしく6次産業化の実践である。
大野ファームが作った加工品は、オンラインショッピングでの販売や芽室町の「ふるさと納税」の返礼品として提供されている。興味のある方は「大野ファーム」で検索をしてください。
販路については、今後はカフェやオンラインショップだけでなく、イベントへの出店も検討している。カフェの料理をイベントで食べられれば、今よりももっとおいしさを多くの人に知ってもらうことができ、そこからカフェやオンラインショップへという好循環が生まれる。製造施設の稼動状況からすれば、生産量はまだまだ増やせるとのことであり、加工品の販路拡大という課題に対応している。お話を伺っていて「なるほど」と思った。

6次産業で働くということ

今回の取材で仕事、働くこと、そして就職活動において押さえたいポイントなどについても多くのことをお教えいただいた。
まず、この仕事をやっていて辛いと思ったこと、うれしいと思ったことをお聞きした。 辛いと思うことはたくさんあるが、一番辛いことは牛が思うように育たなかった時。牧場にはたくさんの牛がいて、それら1頭1頭の命と向き合わなければならないため、思うように育たないのが一番辛い。
一番うれしいことは、お客様に食べていただいた時に「おいしい」と言っていただいた時。大野ファームでは肉牛をハンバーグなどに加工しているが、それらを作るにはかなりの手間がかかるため、こういった加工品を「おいしい」と言っていただけることが一番のやりがいである。

次に、この農場でこれだけは負けないと思うことはなにかをお聞きした。
大野ファームでは肉の自然な味を出すために抗生物質を入れないエサを使うなど、自然にこだわっている。抗生物質を入れたエサを使うと食べたときに嫌な味が残ってしまうため、より良いものを届けるためにも抗生物質は入れない。また、牛肉は同じ品種でも育った環境やエサによって味が変わってくるので、お客様に同じものを届けるためにも時折食べ比べて味の確認をすることもある。
大野社長のお話を伺いながら、カフェの紅茶やコーヒーも有機栽培のものを使われていたことを思い出した。このあたりにも大野社長の食に対するこだわりと責任、さらに言えば誇りのようなものを感じた。大野社長のこだわりをお聞きすると、普段、牛肉を買うとき、産地、ブランドぐらいしか気にしていないことが申し訳ないようにさえ思った。

さらに6次産業化を進められていることを踏まえ、農作業以外にはどのような作業(仕事)があるか、また、社員研修、そして失礼かとは思ったが、これから就職活動をしていく私たちにとってはやはり気になる待遇についてもお聞きした。
大野ファームには総務部門という部署があり、そこでは主に事務の仕事を行っているが、夏の繁忙期になるとカフェや農作業の手伝いをすることもある。季節性のある仕事をしている以上、部門間の仕事を相互にサポートする必要がある。季節的には夏が一番忙しく、繁忙期は週に1度の休みだが、従業員は冬に大きな連休を取るようにしている。

お話を伺い、年間でのメリハリのある働き方もいいかもしれないと感じた。また、いろいろな仕事ができるのは従業員にとっても気分転換になるし、部門間の相互理解も図られる。新卒社員の給与水準も高卒、大卒それぞれ十勝では平均的な水準であり、30代での給与水準も設定してあり、長期雇用を前提とした給与体系は働く人にとっては安心できるとてもありがたいことだと思った。本当は当たり前のことかもしれないが、雇用の不安定化が指摘される今、長期雇用は私たちから見ると、明るい希望の持てることである。

カフェで働く従業員の方は皆、すごく笑顔が素敵で滑舌がよかった。そこで何か発声練習を社内でされているのかお聞きすると、特別、そういったことはしておらず、しているとすれば、朝礼と夕礼の時に全員の前で話をしてもらい、人の前で話をすることに慣れさせているだけとのことであった。
それでも私たちがカフェの従業員の方に好印象を持ったということは「慣れる、つまり、場数を踏むことがいかに大切であるか」ということを示していると同時に、社員全員が「もっと上を目指そう」という向上心を持って取り組んでいる素晴らしいスタッフであるということであり、大野社長はそんな社員を大切に思い、社員の「やりがい・不安・休み」この三点に気を配りながら経営しているからだと思った。

大野ファームは現社長の曽祖父に当たる方が岐阜県から入植して始まり、これまでは家族経営として規模拡大を図ってきたが、今後更なる規模拡大、6次産業化を押し進めていくに当たっての会社のカタチをどうするのかは、まだ、思案中のようであった。しかし、取材を通してこれからの大規模経営は“農家”ではなく“法人”として発展させていくのが1つのあり方だとわかった。それは農業を基盤とした6次産業への就職という選択肢を私たちに与えてくれた。

大野ファームの魅力

ohno2.jpg 内容的には重複するが、最後に大野ファームの魅力についてあらためて述べる。
ずばり、大野ファームの魅力とはなんですか?」…そう私たちが尋ねると、大野社長は少し悩んだ素振りを見せた後にその問いに答えてくださった。
「牛を育て、おいしいと言ってもらえることが一番うれしいですね。命につながる重大な仕事ですからやっぱりまずいと言われたら悲しいです。育てた牛のおいしさをきちんと伝えられること、それが何よりの魅力だと思います」。
生き物の命を扱っている仕事上、当然最後まで育てきることのできなかった命があると、大野社長は語ります。その時は何よりも悲しく、何よりも辛いと仰っていました。
しかし、それでも大野社長は諦めません。
大好きな牛のことを常に考えながら、企画総務部長の奥様、そして従業員の皆さんと一緒に、より良い会社にしていこうと、前を向き進んでいるのです。
大野ファームは、お客様に「おいしい」を届け、人と食をつなぐ場所でした。

そこにはたくさんの笑顔と喜び、食事によって得られるものが多くあり、私たちに幸せを届けてくれる場所でした。
企業訪問というものに当初緊張し、何ができるか不安に思っていました。しかし、その不安を掻き消してしまう程の楽しさや、笑顔のあふれる場所でした。
また、十勝ブランドというものを全国に発信するために多くの工夫をしていることを理解できました。
今回の取材では大野ファーム様には大変お世話になりました。ありがとうございました。
(高田 千緩 西村 拓海 横田 皐月 吉川 美咲)