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大谷短大生がゆく 「社長! 教えてください」

  • 第9回 医療法人社団宝来中央歯科(2017年2月1日 取材)

宝来中央歯科 ~まちの歯医者さん~

宝来中央歯科の紹介

今回、私たちが取材させていただいたのは医療法人社団宝来中央歯科様(以下、宝来中央歯科という)。歯科医院は個人開業が約85%と多く、医療法人としての開業は約13%と少ない。医療法人は、医療法に「…、その地域における医療の重要な担い手としての役割を積極的に果たすよう努めなければならない」と規定されており、宝来中央歯科が医療法人社団を選択した背景には理事長の歯科診療や地域に対する考え方がある。
宝来中央歯科は理事長であり、院長である田中義博様が母校である東北歯科大学(現奥羽大学歯学部)の付属病院での10年半の勤務を辞し、1年半ほどの勤務医を経て1994年に生まれ育った音更町(東士幌生まれ)に戻り、宝来にて開業した。2006年にはタウン歯科(田中早苗院長)を帯広市内に開業し、現在、社員数は11名である。
「丁寧で分かりやすい説明」と「正確な診察、診療」をモットーに診療に当たられている。
田中院長は歯科医師としての資格のみならず、多くの資格(歯学博士、日本綴歯科学会指導医、日本学校歯科医指導医など)を有し、多くの学会(日本歯科医学会・日本スポーツ歯科医学会・日本レーザー歯学会・日本学校歯科医会など)に所属し、研究研鑽に努められている。さらに地域の多様な公職を担い、非常勤講師として教育に携わり、求めに応じて講演活動もされている。また、スケート、サッカーなどスポーツの振興にも尽力されている。
田中院長の経歴と活動を伺って、正直、どうしてこんなにたくさんのことができるのか不思議だった。歯医者としての診療だけでなく、さまざまな活動をされていること、それは医療法人社団を選択されたこととつながっていると思った。私たちも仕事をするだけでなく、勉強し、地域活動や地域に貢献するようなことに取り組めるようになるのだろうか。できればなりたい、いや、是非、挑戦したい。
ちなみに歯科医院で働く人の職種と仕事は以下の通りである。私たちは歯科診療・治療に関わる資格を持たないので、歯科医院で働くとしたら歯科受付、もしくは歯科助手ということになる。

  • 歯科衛生士:歯を磨く、詰め物をする、歯のブラッシングなど。
  • 歯科技工士:入れ歯や模型などを作る。
  • 歯科助手:ドクターや歯科衛生士のサポート
  • 歯科受付:カルテを出す、次の予約をとる、お金の管理など。歯科受付は病院の顔であり、病院に与える影響は大きい。
田中義博院長へインタビュー

次に診療終了後のお疲れのところでお聞きした話を質問項目別にまとめる。

まず、歯科医を目指したきっかけからお話を伺った。
za_honya.jpg 音更町東士幌の農家に生まれた田中義博院長。叔父様が歯科技工士であり、憧れを抱いていた。また当時、歯科医院は数も少なくいつも混雑しており、技術も今ほど進歩していなかったため痛いことが多かった。その上、待つ割には診察はすぐに終わる。あまり歯医診療に良いイメージがなかった田中院長はその状況をどうにかしたいという思いがあったそうである。そして田中院長は小学校の頃から歯科医を志し始めた。ご両親は賛成してくださり、学校の先生たちもとても応援してくれたという。学生時代の恩師から貰った広辞苑は今でも大切に保管されていらした。良い先生に恵まれた田中院長は、一時期先生を目指そうかと考えた時期があったそうだ。
いくつもの出会いに恵まれ、それを生かして歯科医“田中義博”が生まれたと感じられるお話であった。私たちも出会いを大切にしていきたい。
田中院長は大学生時代、開業するなら絶対に音更に帰るという信念を持っていた。そして音更町にて宝来中央歯科を開院。現在、教育委員会や非常勤講師、子どもたちからオリンピアまでスポーツ活動の支援などの社会活動を行っているのも子どもたちに良い環境を与え、成長を支援したいからだと田中院長は語る。田中院長の地域や地域の人々への恩返しという思いから、収入や時間を費やし地域貢献活動や教育的活動を日々勤しんでいる。冒頭の多忙な生活ができている理由が少し分かったように気がした。

次に、今後の目標についてお聞きした。
患者さんに還元すること、お世話になった人々や地域に恩返しをすることだと言われる。そのため宝来中央歯科は他の歯科医院よりも機材整備に力を入れており、CAD/CAM、デジタルレントゲン、CTスキャンなどをいち早く揃えてきた。また、乗っている車はエコカーであり、お金はほとんど機材に費やしているそうだ。それが患者さんへの還元となる。“とにかく患者さん第一”という信念を感じた。

次いで、田中院長にとって辛いこと・うれしいことをお聞きした。
辛いことは人間関係・仕事などにおいて、一生懸命に取り組んだことが正当に評価されないこと。うれしいことは患者さんから褒められることや、スタッフが先を読み行動してくれること。田中院長がやろうとしていることをスタッフが自ら率先し行動することが、スタッフの“成長”を感じることができ、非常にうれしいことだと言われた。
私たちも将来、田中院長のような部下・社員の成長を促し、それをうれしいと言ってくださる上司の下で働きたいと思った。

さらに仕事において大切なことについてお聞きした。
田中院長は何事も事前によく考える、ということをいつもしていると言われた。先のことを予測し、前もって準備をしておかないと気が済まないのだそうだ。いつも頭の中に引き出しを作っておくことが大切だと言われた。
準備の大切さ、よくわかっているつもりだが、できなければわかっていないのと同じだ。私たちも明日のため、1週間後のため、1月後のため、半年後のため、1年後のため、3年後のため、・・・、そして将来のために“準備をすることを大切にしています”と胸を張って言えるようになりたい。

最後に、職場環境、望む人材像についてお聞きした。
スタッフの労働環境としては週40時間以内、残業はなし。また常に目標を持つことが大切だと指導している。スタッフたちは目標や夢を書き、一年後に見直し・反省。また次の目標へ、という取り組みを行っている。また、どのような人物を採用したいかという質問には、“素直であること”とおっしゃった。
分からないことは分からないと言う、人の話をしっかりと聞ける、そういう人物が好ましいとのことであった。私たちなりにこの後に続けるとすれば、聞いたことをしっかりと理解し、自分の引き出しを作り、成長につなげていく人材が望ましいということだ。そうした人間を目指したい。
宝来中央歯科のスタッフは女性が多い。人間関係などのことは奥様に任せている様子であった。

取材をしてみて

今回の取材で田中院長の歯科医としての熱情、患者・スタッフへの深い愛情を感じた。幼い頃から一貫した夢を叶えた田中院長は、歯科医だけにとどまらず教育的・社会的活動を行っている。「地域やお世話になった人々への恩返しがしたい」という思いが原動力なのだろう。自分の利益のためでなく患者さんや地域のために、という熱意が伝わってきた。自らの人生や思いを語ってくださった田中院長の姿は教育者のようにも見えた。歯科診療だけでない頼りになる“まちの歯医者さん”である。
また歯科医院に勤める人々の仕事内容について知ることができた。現在歯科医院はコンビニよりも多いと言われており、十勝管内だけでも200近い歯科医院が存在するそうだ。
これからの歯科医院は“患者の奪い合い状態”になる、という現状のことも初めて知った。しかし、言われてみれば人口減少が進む時代にあって、多くの業界で同じような状況に直面していると考えなければいけない。そして私たちはそうした時代を生きていくのだと考えると気合を入れて頑張らねばと身の引き締まる思いである。
歯科医院のことを学べたことは勿論、“田中義博さん”という人物からお話を聞けたことは私たちにとって非常に貴重な経験となった。ありがとうございました。
ちなみに十勝管内のコンビニの軒数をネットで調べてみた。十勝全体で149店舗、うち帯広市が70店舗であった。歯科医院の方が50ほど多かった。

 

(加藤 朱莉 渡辺 彩芽 米澤 美佑)